残す力
古(いにしえ)より今に至る迄に、ものが残ると云う事は大変なエネルギーです。
時の権力者に、数寄者に、コレクターに愛玩され流転を重ねてもそのエネルギーは摩耗する事なく、むしろ増幅されて来ていると感じます。
その陰には、歴史に登場することのない名も無き人々の存在があります。
私たち道具屋もその一つであり、「海揚り古備前」のように輸送船が難破して何百年も海底で眠っていた焼物を引き上げ、日の目を見せてくれた漁師さんもそれに数えられます。
未来に向けて人間の遺産としてものを確かに残す事は現代に生きる我々の責務だと感じています。