近藤悠三の矜持
37年ぶりの奇跡です。
この度、37年前に扱わせて頂きました近藤悠三先生の柘榴染付花瓶に再会しました。
かつて大阪美術倶楽部に出品されたものを手に入れて、その後に大阪の百貨店にお買い上げ頂いた作品です。
作品には近藤悠三先生が記された奉書が在中されています。
曰く「此の花瓶ハ新皇居御座所ノ花瓶トシテ御下命謹作セシモノト同作也 昭和三十六年秋 近藤悠㊞」
初めてこの作品を入手した際に近藤先生にお話をうかがいました。
その時のお話は、
「御座所とは天皇陛下が普段おすごしになるお部屋と云う意味や。其処に柘榴染付花瓶を置きたいと御下命を下さったんや。ありがたいこっちゃなぁ。これはその時に一緒に焼いたもんや。」と
続けて、「もろうてもろた花瓶と違うで。御下命に応じて造ったんや。そやから、宮内庁から御代をくれはったんや。」
懐かしむお言葉の陰に陶工のプライドを垣間見ました。
そして、このたび岡山県内の或るお方の迎賓室にお納めすることが出来ました。
其処をご来訪された御客様は新皇居と同じ調度を楽しんで戴けることでしょう。