川瀬巴水と「笠岡の月」
川瀬巴水(かわせはすい)は近年にその評価が高まって来ている版画絵師です。
その多くは灯点し頃(ひともしごろ)の情景です。
「巴水ブルー」と称される青を基調とした色彩でジャパン・オリジナルの世界を展開しています。
スティ―ブ・ジョブズが心酔しコレクションをした作家としても著名な芸術家です。
現在、京都駅伊勢丹「えき」美術館にて開催しています「THE新版画」にて展示されています。(2023年7月30日まで)
展覧会場出口近くに作品集を販売する場所が在りました。
作品集には展覧会で展示されている作品以外のものも掲載しています。
頁を追っていて「オーツ」と声を上げました。我が家から西へ10mほどの場所が描かれています。今はマンションが建ち失われた風景です。かつて肥料倉庫が在りました。
畳敷きで30畳ほどのスペースが有り此処で「ドッチボール」や「ろくむし」をしました。夏には早朝にラジオ体操をして出席表に判子を押してもらいました。
作品集の「笠岡の月」解説には、「巴水でなくては描けない佳作」と記しています。
体力が衰弱した晩年の作とも書いています。
「絵になる場所」と「絵にする才能」とは別のものだと想いました
「笠岡の月」には月は描かれていません。月に照らされた笠岡を描いています。
笠岡駅からこの場所に到るには、我が家の前を通らなければ行けません。
川瀬巴水を身近に感じ、スティ―ブ・ジョブズを友人のように想いました。