一人のホテル、携帯に設定していた

静かな「カノン」が鳴った。


病院からの電話だった。


覚悟はしていた。

「容態が急変したので来てください」との事。


夫の口から

いままで嗅いだ事のない種類の異臭のする

胃液が出てきた。

看護師さんは手慣れた手つきでそれを

チューブで吸った。


心拍数にはモニターがついていた。

「ピコン…ピコン……」

モニターの画面の波の間隔がだんだん遠のいていく。

「ピコン……ピコン…………ピコン……………」

次が来るかなと待っていたが最後のピコンが来なかった。


医師が死亡を伝える声が聞こえた…。