低温処置が続いたある日、

主治医から話があった。


「もうご主人の助かる見込みはありません。

私も最善を尽くしました。

私は負けました。」


主治医は大阪の中でも

一流の病院の一流の医師だった。

その医師が敗北宣言をした…


私はもうどうにでもなれという

投げやりな気持ちだった。


夫の死を示唆されたことにより、

私は多額な保険金を受け取ることが

分かっていた。


思い返すと夫が仕事から帰るなり

「今日、お父さんの仕事の経費の関係で

オレ多額の保険を掛けられたんだ」

とある日唐突に言った。


そんなものいらない。

いらないから夫を助けて欲しい。


いざとなると人は

大切なものがわかるものだ。


もう保険金という第二の手段で

手を打つしかないのか…

私は全く嬉しくなかった。


せめて今まで買いたくて我慢していた

ジバンシーのアイカラーなどを

気休めに買った。