1. 医学科に行った卒業生のうち二人目は女の子だった。お母さんがちょっと隣人が変な人らしくて参っていた感じだった。ウチにも「塾の前に自動車がたくさん止まって迷惑だ」という変なメールが来たこともあった。そんなことあるはずがないのに。念のため塾の前での送迎は辞めてもらったりした。

本人はケロッとしていて、当塾では数学だけの受講だったが、大した出来だった。私はこの子を最上級の尊敬の念を込めて人間プリンタと心の中で呼んでいた。問題を見せたら、大して考えもせずすぐプリンターのように数式を書き始めるからだ。本当にすごい出来だった。本人曰く「古文漢文が得意なんです」。普通の理系は古文や漢文には勉強時間を裂けないし、全然記憶の蓄積が無いので得意になるはずがないのだ。多分暗記するまでの時間がものすごく短いし、覚えたらなかなか忘れない頭脳なのだろう。うらやましい才能である。

お母さんが岡山大の一般入試にこだわっていたので私は辟易した。成績は良いので、合格の可能性が一番高いのは推薦入試だと本人には伝えたが、お母さんはいまいち状況が分からないようだった。しょうがないから私は岡山大(岡山大は前期だけで後期試験は無い)の数学をひたすら解いて過去問の授業をした。

岡山大の過去問解説の執筆は意外と重要なターニングポイントだった。というのも、方眼のついたレポート用紙に書いていた原稿の保管方法を、岡山大の執筆を機に変えたのだ。今までは40個袋のついたファイルをその都度買っていたが、この保管方法を継続した場合著作が増えたら金とスペースがいくらあっても足りなくなる。毎回一冊400円程度するファイルを購入していては破産する。そこで、30個の穴が開いていてルーズリーフのようにバインダーで閉じる透明なクリアファイル(商品名はポケットリフィルという)をセリアで買ってきて、それを糸で止めて、中身だけ封筒に入れて保管するようにした。これで保管スペースが三分の一くらいになった。

その後計量士を書いたりして原稿が激増するが、この時に作った保管方法が功を奏して特にレンタルスペースを借りたりする必要性が無い。

この少女の話に戻ると、結局学校でいわれたのか、推薦入試と一般入試を併願することになった。成績が良かったせいか、推薦ですんなり進学先が決まった。本人によると、優しい面接で、圧迫面接のアの字も無かったようだ。成績が良かったので、最初から合格が決まっていたようである。微妙なひとだと、面接でも結構厳しいことを言われるらしい。

2月だったのだろう、授業の時バレンタインだからと言って小さなチョコレートをくれた。お歳暮に何か飲料を送りたいと言われ私が「コーヒー」と答えたら、お父様が来られてコーヒーのセットをいただいた。数学の先生に贈り物をする際はコーヒーが無難である。数学の先生は原則コーヒー党に決まっているからである。

2. 高齢のおじから年賀状が来なかったので心配していたのだが、手書きのハガキが来た。良かった。一安心である。

3. 現在環音の解説書きが佳境である。セイビンの残響式の問は苦戦した。どうせJISに掲載されている式に代入するだけなんだろ?とタカをくくっていたら、そうではなかった。やはり大事なのはセイビンの残響式そのものである。これを暗記しておけば解けるようになっていた。いままで式そのものの出題はなかったかと思うが、これからの受験生はこの式も暗記しておくしかない。そのほかのJISの問は、選択肢が過去問をアレンジしたものだったので、なんとか解説が書けそうである。環音は過去問を大量に解いておけば、出題される話題が限られていることに気づくだろう。ただ、これまでは、環物が得意な人は環音は大して得点できなくても合格できていた。今回は環物が得点源にしにくかったはずで、あてが外れた人もいるだろうね・・