みなさんこんにちは

心理セラピストの白まり(しらまり) です

 

ずっとフタをしてきたつらい感情を解放し、不幸の原因を手放してあなたらしく輝けるようになる…

その お手伝いをしています

 
 
ある朝かかってきた
知らない番号からの電話
 
 
かけてきたのは
母の配偶者


半世紀ほど前に
幼いわたしから母を奪った男性からの
 
 
母が危篤で
あと数日の命だということを
伝える電話でした
 

 

 

 
その日の予定を調整し
午後1時すぎに
母が入院する病院に到着
 
 
入館申込書の続柄に「娘」と記入
 
 
生まれはじめて自分を「娘」と記載しました
 
 
わたしが幼いときに
不倫して離婚して
 
 
再婚するときにに
わたしを置いて出て行った母
 
 
幼い頃の母との記憶はほとんど無い
 
 
なのでわたしの記憶的に
母と会うのは今回で4回目
 
 
二人だけで会うのは2回目でした
 
 
母はすでに話すことも動くこともできず
ベットにひとり横たわっていました
 

 

 

 
どうしていいか分からない…
 
 
しばらくその場に佇んでいましたが
思い切って丸椅子を運び
母のベットの傍に腰掛けました
 
 
身体から複数伸びる管
 
 
唯一動く目
私とよく似た形の目が
私を見つめている
 
 
私が自分の娘だということが
分かっているのだろうか?
 
 
しばらく座っていましたが
思い切って
自分の思いを言葉にしてみました
 
 
あなたにとって
私はいらない子供でした
 
 
それでも私は
あなたと一緒にいたかった
 
 
甘えたかった
抱きしめて欲しかった
愛されたかった
 
 
あなたにとって
私はいらない子供でした
 
 
それでも私は
あなたのことが世界で一番
大好きでした
 
 

 

 
時おり歪む母の表情
 
 
何かしら感情が動いているのか
それとも身体の苦痛によるものなのか
まったく分からない
 
 
病状も知らないし
彼女のことを何も知らないので
何も想像もできない
 
 
布団の中から
ゆっくり手を出した母
 
 
私とよく似た形の爪をした
小さく細く黒ずんだ手
 
 
私を抱きしめることも
私のために食事をつくることも
なかった手
 
 
この手に触わりたい
 
 
そんな想いが湧いてきたので
思い切って母の手に触れてみました
 
 
はじめて触れる母の手
 
 
温かくて柔らかい
 
 
その温かさに
涙が溢れてきました
 

 

 

 
私を置いて出て行って
その後一度も会いに来なかった母
 
 
世界一冷たくて無責任な母
 
 
私はこの人の娘なんだ
 
 
これが私の運命なんだ
 
 
自分の運命を受け止めようとしている私
 
 
そんな私を見つめる母
 
 
1時間ほど手を繋いでいたでしょうか
不思議なほど心が満たされていました
 
 

 

 
母と過ごすはじめての
そして最後の
ゆったりした時間
 
 
こういう時間の積み重ねが
私の求めていた愛であり幸せなんだ
 
 
そう思いました
 

 

 

 
日が傾きはじめました
 
 
思い残すことがないように
なんて無理
 
 
そろそろ帰ろう
 
 
最後にお会いできてよかったです
さよなら
 
 
顔をくしゃくしゃしにて
幼い子が泣くような表情をする母
 
 
そんな母を見て
思わず出てきた言葉
 
 
なんで一度も
会いにきてくれなかったんですか
 
 
なんで私に
こんなに無関心なんですか
 
 
私がいったい
何をしたっていうんですか
 
 
酷い
あんまりにも酷すぎる
 
 
お母さん
あなたはバカだ
 
 
こんないい娘を手放すなんて
大バカだ
 
 
生まれはじめて
お母さんに文句を言うことができました
 
 
生まれてはじめて
お母さんと呼ぶことができました
 
 
幼い子供のように
わんわん泣きながら
 

 

 

 

 
最後にお会いできてよかったです
さよなら
 
 
本当にさよなら
 
 
そう告げて
私は母の病床を後にしました
 
 
 

 

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