<これで三度目(Je l’ai été 3 fois・仏・1952)> ★★★☆

 

 

サシャ・ギトリは往年のフランス映画黄金時代の著名な監督だということは知っていましたが、作品を見るのは初めてです。これまで2人の妻に浮気され、離婚を経験してきた宝石商のアンリが3人目の妻には浮気させまいと過去の経験を語る、如何にもフランス映画らしい洒落たコメディでした。3番目の妻の浮気相手の舞台俳優役としてギトリ自身が出演しています。

 

>冒頭で、映画の撮影所に大勢の関係者が続々やって来ます。その中に演出家、俳優、道具係としてサッシャ・ギトリが3度登場します。ギトリの映画界への深い愛情を示す挿話となっています。本筋に入って、パリの宝石商アンリは、夕食の席で3人目の妻テレーズと友人のアンリエットに、前の2人の妻に浮気された経緯を話して、ジュリエットを牽制します。最初の妻ルーチェはアンリと瓜二つのヘクターをアンリと勘違いして駆け落ちしてしまい、二番目の妻ジュリエットは店に来たアラビアの王侯に気に入れられて奪われていました。その日の午後、家の真向かいにある劇場で、観客のテレーズは主演する初老の俳優ジャン・レヌヴァルに惹きこまれて、アンリがその夜、出張で出かけることになっていたので、夕食後に彼女の家に招待していました。夜の芝居で枢機卿役を演じるジャンは、幕の合間にその扮装のままテレーズの家にやって来て、寝室に招かれます。電車に乗り遅れたアンリが家に戻ると寝室で絡みあっている2人を見つけて仰天します。すると、枢機卿の衣装に身を包んだジャンが出て来て、アンリにこれは神の思し召しであるから、謹んでお受けするように説得します・・・・。

 

浮気を奨励しているような作品ですが、解説によると、サッシャ自身、5度も妻を迎えているそうで、その5度目の妻がテレーズを演じているそうで、なんとも人を食った作品でした。

洒落た映画でしたが、率直に言って、お堅い私としては物語について行けず、退屈を感じてしまいました。