<明日はない (Sans Lendemain・仏・1939)> ★★★★

 

 

1939年制作というから、太平洋戦争勃発よりも2年ほど前のモノクロのフランス映画をCATVで見ました。原題の<Sans Lendemain>は英語なら<Without Tomorrow>だと思います。

 

かつて愛し合った2人ジョルジュとエヴリーヌ、エヴリーヌは玉の輿に惹かれて別の男と結婚し、ジョルジュはカナダへ去ります。しかし、実業家の夫は倒産、自殺してしまい、子連れの彼女は裏町の安アパートに息子ピエールと住んで、モンマルトルのキャバレーでダンサーをしています。ある日、医師仲間の友人マルゴと一緒にパリへやってきたジョルジュとばったり遭遇、彼女は零落した現実を言えず、彼が滞在中、空き家になっていた豪邸をマフィアから借金して急遽引っ越し、男を招いて見得を張ります。しかし、彼女の嘘は、2人がデートで外出中、ピエールの話からマルゴにバレてしまいまい、彼女はマルゴに口留めを哀願します。それを知らず、ジョルジュは結婚を持ち出し、一緒にカナダへ行こうと誘います。彼女は、”屋敷”を整理してすぐに行くからと、息子を彼に託して、霧の中に消えて行きます・・・

 

虚栄心からついた嘘で引っ込みがつかなくなったというお話でした。最近、ホストに入れ込んで高額の借金をして、返済に売春をする女性が多い、というニュースがありましたが、どこか似ていると思いました。結末は想像に委ねられています。タイトルから察して、多分、セーヌ川に飛び込んで自殺してしまうのだろうと思いますが、同情する気になれず、夢中になって嘘を見破れない元カレのジョルジュもどうかと思いました。

 

彼女にふられても彼女が忘れられず独身をとおして来たジョルジュですから、彼女が本当のことを打ち明けても、彼は彼女を受け入れたと思います。それを虚栄心から見栄を張った嘘が引っ込みがつかなくなって、彼女には明日がなくなり、悲惨な結果になってしまいます。見栄を張って嘘をつくものではないという教訓の映画で、ヒロインに同情出来ませんでした。私は、お金が余って使い道に困っている、なんて嘘は絶対に言いません!!