<兄貴の嫁取物語 (Veeram・印・2014)> ★★★☆

 

  広大なインド亜大陸だけあって、いろいろな言語が使われていて、この映画はタミル語だそうですが、字幕が頼りの私には全く関係ないことでした。191分はインド映画ではどちらかと言うと短い方で、突然、歌や群舞が挿入されるのはインド映画としては極く当たり前でした。ただ、嫁取理と言っても若者の話ではなく、髪も髭もかなり白髪の混じった中年男の話でした。

 

>インドの地方の村に暮らす5人兄弟、両親は既になく、長男のヴィナヤガムが家長となっています。彼は腕っぷしは強いが義侠的で村人から尊敬されていますが、兄弟がそれぞれ結婚すると妻の言いなりになって兄弟の結束が乱れると独身主義を通しています。4人の弟にはそれぞれ恋人がいますが、兄には隠しています。村の市場を牛耳るボスのヴァナンガムの悪辣さを訴える村人の訴えを聞いて、彼はヴァナンガムを追放します。ヴァナンガムは子分を使って、兄弟を殺そうとしますが、その都度、ヴィナヤガムに返り討ちされます。そんな折り、彼は隣村に住む仏像修復家の女性コップと知り合います。互いに惹かれ合いますが、ヴィナヤガムは弟たちの手前、それを言えません。コップの父ナラシヴァムは村の有力者で徹底的な非暴力主義者で、ヴィナヤガムが襲われて乱闘に至ったことを聞いて、娘の結婚を認めません。ナラシヴァムの村の工場がアーダダラスというヤクザに襲われて放火されましたが、村人は彼の報復を恐れて沈黙を守るので、ナラシヴァムが告訴して逮捕させます。それを恨んだアーダダラスはナラシヴァム一家を殺そうと子分たちに襲わせますが、その都度、ヴィナヤガムが密かにそれを阻止します。ヴィナヤガムは重傷を負いながらも、真相を告げずに一家を救ったことを初めて知ったナラシヴァムは、非暴力は絶対ではなく、正義を守るためにはやむを得ないことを知って、娘の結婚を許し、兄弟5人の合同結婚式が盛大に開催されます。

 

正義を貫くためには暴力もやむを得ないと言いたかったような映画でした。事の成り行きは最初から判っていて目新しさはありませんでしたが、随所にきらびやかな衣装や土俗的風習が描かれていて十分楽しめました。それにしても、登場人物の名前の難しいのには閉口しました。見ながらメモしておきましたが、それでも誰が誰だか判らなくなって、録画なのでエンドクレジットを見直す始末でした。村の市場を牛耳るボスのヴァナンガムを追放するため、市場の運搬業務の入札で彼を蹴落とすことに成功しますが、そのあと、ヴィナガガムは一向に運搬事業に携わっていない、などいい加減な点が随所にありますが、そんな理屈を言って見る映画ではないことは確かです。