<恋多き女アルマ 芸術界のファム・ファタール(Bride of the Wind・英/墺・2001)> ★★★☆

 

 

私は、マーラーの作品は長大な大曲や歌曲が多く好きではありませんが、彼の「交響曲第1番・巨人」だけは、曲想が若々しく親しみやすいことと演奏時間が比較的短いことで好きです。「華やかな20世紀の欧州芸術界を舞台に天才作曲家グスタフ・マーラーの妻アルマの波乱に満ちた恋多き生涯を煌びやかに綴る伝記ドラマ!」とされている作品をAmazon Primeで見つけて見ました。邦題にある“ファム・ファタール”は、フランス語の“ femme fatale”で、男にとっての#運命の女=運命的な恋愛の相手というような意味ですが、特に悪い意味“男を破滅させる魔性の女”という意味で使われているそうです。この作品に登場するヴァルター・グロビウスは、実在したドイツの建築家で、後にル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエと共に近代建築の四大巨匠の一人に数えられています・

 

>1902年のウィーン。作曲家の若い女性アルマは、その美貌と話術で社交界の花形上手で、画家のクリムトや医師のフロイド等多くの著名人と交際していましたが、作曲家・指揮者として売れっ子だった19歳年上のグスタフ・マーラーに見染められて結婚しますが、グスタフからは音楽家としてではなく、妻として尽くして欲しいと言われて、不満を抱いて過ごしていました。グスタフの名声はますます高まりますが、彼の借と育児疲れでノイローゼとなり、温泉へ静養に行きますが、そこで若く魅力的な建築家ヴァルター・グロピウスと出会います。グスタフはアメリカ演奏旅行の疲れから持病の心臓病が悪化して亡くなります。そんな折、画家のオスカー・ココシュコと出会い、彼の子を妊娠しますが中絶してしまいます。それを知らず、ヴァルターは求婚して結婚しますが、第一次世界大戦から帰国したオスカーがやって来て離婚してしまいます。アルマは年下の詩人フランツ・ヴェルフェルと出会い再々婚しますが、音楽の趣味が合わず2年で離婚してしまいます。やがて、オーストリアがナチス・ドイツに併合されると、ユダヤ系の彼女はナチの手を逃れるため、南フランスへ去り、晩年はアメリカで過ごします。

 

英国とオーストリアとの合作となっていますが、撮影は殆どオーストリアで行われたらしく、古い町並みや美しい森林など雰囲気が充実していました。そんな中で何人もの男を次々に渡り歩いてくっついたり離れたりするファム。ファタールをサラ・ウィンターは、私の目から見るとそれほどとは見えませんでした。

 

マーラーとの出会い、生活、別離が映画の中心となり、大半を占めるのは当然ですが、ココシュコとの出会い以降は急ぎ過ぎて端折った感じで、アルマの男狂いばかりが目立ってしまいました、100分の作品ですが、せめてもう20分伸ばして、丁寧に描いて欲しかったと思いました。