<コヴェナント 約束の絆 (The Covenant ・米・2023)> ★★★★☆

 

 

 アフガン戦争を題材とした映画は沢山ありますが、この映画はその戦争の最中に孤立した米兵と現地通訳の2人の信頼と友情という変わった視点から描いた作品でした。副題が「約束の救出」になっていますが、原題の「コヴェナント」とは旧約聖書に出てくるユダヤ人と神との契約から由来して、「必ず守る約束」という意味で使われているそうです。

ます。アフガン戦争中、異国で戦う米軍としては、当然、現地人との交渉や折衝に多数の通訳が必要なので、強力すれば家族共々、渡米ビザを発給するという甘い餌で釣って大量の通訳を確保しましたが、この映画のように実際には殆ど発給されず、アメリカが撤退してタリバンが全土を掌握すると、敵国への協力者として多くの通訳が家族共々殺害されたということが、映画の最後に語られます。

 

>米軍のジョン・キンリ―曹長は、タリバンの武器庫を探し出す任務を命じられ、通訳としてアフガニスタン人のアーメッドを同行して小隊を率いて出陣します。進軍途中で、アーメッドはタリバンの潜伏を突き止めて進路変更を忠言してキンリーの信頼を得ます。小隊はタリバンの武器庫を突き止めますが、タリバンの大規模な反撃を受け、キンリ―とアーメッド以外の兵士は全滅してしまいます。キンリ―も瀕死の重傷を負いますが、アーメッドはキンリ―を運んで山岳地帯を100キロも戻って、米軍の偵察部隊にキンリ―を引き渡すことに成功します。キンリ―は治療を受けて快復して帰国しますが、アーメッドがタリバンに裏切り者として狙われ、妻子と共に行方不明になっていることを知り、命の恩人を救出し、約束通りアメリカに渡る移住ビザを取得してやらなければなならいと“コヴェナント”を実行しようと、再三、上層部に掛け合いますが埒が明かず、業を煮やして再びアフガニスタンに渡ります・・・・・・

 

キンリー小隊が、彼とアーメッドを除いて全滅するまで、私は、この作品を監督したガイ・リッチーについては全く知りませんでしたが、演出も撮影も編集も極めてスリリングで迫力に満ちていました。キンリーとアーメッドが、単なる通訳から互いに信頼し合う友情に変化してゆく姿もうまく描かれていました。実際にあった出来事がモデルになっているそうですが、日本ではお馴染みの”義理と人情“というような安直な関係ではなく、互いに信じる宗教は違っても、共通する”コヴェナント“という考え方に従って自己犠牲に身を捧げる姿は感動的でした。

 

ただ、キンリーが再度アフガニスタンに渡ってからは、前半に比べてあっさりとしていてやや拍子抜けしました。瀕死のキンリーをアーメッドが必死に運ぶ部分をもう少し削って、アーメッドを探し求めるキンリーの苦悩をもう少し丁寧に描いて貰いたかったとおもいました。