<もっと遠くへ行こう (Foe・米・2023)> ★★☆

 

 

AmazonがMGMと提携して制作したオリジナル作品だそうで、 Amazon Primeで見ました。原題の「foe」とは、「敵や対立者」を意味する英語、主に戦争や競争などの状況で使用されることが多く、また、物語や映画などのフィクションの中で、主人公と対立するキャラクターを指す言葉としても使われるそうです。「夫が宇宙移民の候補に選ばれたことをきっかけに、夫婦の関係や個人のアイデンティティが揺らいでいく姿を描いた“」近未来SFドラマ“ということで見てみました。

 

>西暦2065年、ヘンとジュニアという若いカップルが、荒野の中の一軒家に住んでいます。気候変動から農業は成り立たず、すべての食料は人工に頼っています。ヘンはカフェで、ジュニアは精肉工場で働いています。ある夜、近い将来、人類が移住するために政府が管理するアウターモアという宇宙ステーションの職員と名乗るテランスという男が訪れ、地球外の居住地に定住する資格のある人物の短いリストを作成するための抽選システムの結果、ジュニアが選ばれ、2年間の観察が必要であると告げます、選ばれたことに当惑した夫婦の間に微妙な隙間風が入り、口論が絶えません。1年後、再びテレンスがやって来て、ジュニアが移住中、ヘンが寂しくならないため、ジュニアを観察して代わりに、AIを使って人間の意識の能力を持つ人工人間を作成して提供すると言って、同居を始めますが、ヘンは、ジュニアがいなかったら自分の人生はどうなるのかと動揺します。ヘンとジュニアは結婚生活の中で今まで以上に親密さを増して行きますが、或る日は、ジュニアは自分が代わりのジュニアであり、本物のジュニアが2年ぶりにアウターモアから戻ってきたことを知ります。テランスはジュニアに、ヘンと後任者が恋に落ちるとは想定外だったと告げ、身代わりのジュニアに注射をして殺害してしまいます、本物のジュニアは恐怖と混乱に陥ったにヘンを慰め、この家を捨ててどこか遠くへ行こうと告げて去って行きます。

 

原作小説があるようですが、人造人間が恋心も抱いてしまうという発想は面白いものの、110分の作品のうち90分は長々と2人の会話とテレンスの介入が描かれ、ジュニアの出発は一切描かれず、いきなり帰国になって終わり、相当退屈な作品でした。ジュニアと人造ジュニアは勿論、一人二役で、登場人物は3人だけ、そのほとんどが家の中の会話、たまに荒涼とした周辺の大地で、Amazonが制作協力した作品らしからぬ制作費もかなりケチったような作品でがっかりしました。前半はそここそにして、ジュニアの出発の模様や、アウターモアに到着した彼のヘンへの思慕など、代替人と知りながら彼に愛情を感じてしまうヘンの心境の変化などを入れれば、もう少しはリアリティに富んだ作品になったろうと思いました。