四畳半襖の裏張り しのび肌 (日・1974)> ★★★

 

 

 

邦題後半の“しのび肌”を見落として、永井荷風の作と伝えられる「四畳半襖の裏張り」を神代辰巳監督が映画化したものと思って、日本映画CHで見ましたが、どうも内容が違うので終わってから改めてチェックしたら、同監督が前の年に撮った<四畳半襖の裏張り>が大ヒットしたので、二匹目のドジョウを狙って作らされた第2弾でした💦。だから、原作小説とは時代は同じですが、内容的には全く関係がありませんでした。

 

>旧東海道・大森宿あたりの花街で、大金持ちの客をめぐって芸者の染八と花清が張り合っていましたが、染八に子供が出来で本妻に納まることになりました。折しも関東大震災が勃発し、そのどさくさまぎれに花清は腹いせにその子供を盗んでしまいます。年月が過ぎて昭和10年代、その子供・正太郎は成長して、花清の営む芸者置屋の息子となっていましたが、ひどく早熟で、二人の芸者・小ふく、小八重と戯れます。すっかり頭を痛めたおかみの花清は、顧客kの映画館主の計らいで雇人の映写技師夫婦に正太郎を預けますが、今度はその夫婦生活にちょっかいを出します。そんな時、小ふくの妊娠が発覚、父親は正太郎と判って大騒ぎとなります。小ふくは子供を生む決心をして去ります。そんな折、正太郎の産みの親の染八が訪ねて来ます。しかし、正太郎は染八の目の前で、花清へいちゃついて見せて、染八は怒って立ち去ります。その夜、正太郎は、激しく抵抗する花清を押し倒して襲います。やがて、正太郎は満州へ行って幇間(男芸者)になると旅立って行きます。

 

なんともとんでもない男です。会話から17~8歳と思われますが、昼間は三味線を弾いて鼻歌を歌って過ごし、夜は雇人の芸者2人と三つ巴になって戯れたり、客の男性とホモ関係になったりした挙句、血の繋がりはないとは言え育ての母親とも関係を持ってしまいます。気色の悪さは並み大抵ではありませんでしたが、ポルノ映画の日活としては、セックス・シーンを多く入れられる作品であれば良かったのでしょう。日活ポルノで売り出した神代監督ですが、無理やり作らされて仕方なく撮った作品のようでがっかりでした。

 

登場人物の一人に映写技師が登場はしますが、時々、何の関連もないのに、当時の日活作品で日中戦争を描いた火野葦平の小説を映画化した<土と兵隊>のシーンが前後の脈略なく挿入されるのも不思議でしたし、目障りでした。