<イーグル・スクアッド(Somos Ecos ・Colombia・2021)> ★★★★

 

 

 

珍しい南米のコロンビア共和国の映画ですが、同国は南米大陸北西部に位置し、首都はボゴタ、南アメリカ大陸で唯一、太平洋と大西洋の2つの大洋に面した国です。コロンビアでは1960年代から政府軍、左翼ゲリラ、極右民兵の三つ巴の内戦が50年以上も続いていました。1980年代から1990年代には麻薬戦争による暴力が横行し、世界で最も危険な国の1つと言われていました。しかし、21世紀以降、コロンビアは劇的な治安の回復に成功し、アメリカ大陸における主要国と位置づけられています。

 

その騒乱の時代を描いた作品ですが、原題は英題では'We are echoes'となっていて、それは心ならずも強制的に軍隊に組み入れられて悲惨な戦争に直面して命を預けた主人公たちの気持ちは、平和を望む一般民衆の声のやまびことなっていると言う意味かと解釈しました。

 

>政府はゲリラ組織と言いますが、反政府組織との戦闘が続き、政府軍は兵力補充に街でうろついている若者を強制召集しています。セバスとアンドレアスもそうして召集されました。世間に反発して荒れた生活を送っている彼には、有力政治家ドン・エルネストは強引に引き離そうとしていますが、彼の娘スサーナと恋仲になっていすます。アンドレアスは愛国心の尊さを説きます。フェリペは農村出身で純朴な青年です。厳しい訓練を通じて3人は親しくなり、モラレス中尉の率いる狙撃部隊「イーグル」に配属されます。アンドレアスは上官に新任され、秘書役を任命されます。しかし、アンドレスは兄エルキンの率いるゲリラ組織のスパイで、上官から得た情報を兄に流していました。ある日、スサーナがエルキン等に誘拐されます。スサーナを救出するためイーグル小隊は、ゲリラが潜伏するジャングルへ出動しますが、アンドレスの内通で待ち伏せに合い、撤退を余儀なくされ、フェリペは戦死します。アンドレスはセバスのスサーナへの愛を知って、密かに彼女の幽閉されているゲリラ隊の野営地へ案内します。しかし、発見されて2人は殺害されようとしますが、折よく国軍の爆撃があってエルキンは死に、混乱の中をアンドレスとセバスはスサーナを救出して脱出します。セバスとスサーナを残して、アンドレスは去って行きます。

 

自己都合(彼の娘の誘拐解決)のためには、地位を利用して戦死者が出ても構わずに国軍を動かそうとする両県は世界共通のようです。日本では、金のためなら法律違反も厭いません。ただ、この映画の場合、命を賭けてスサーナを救出したセバスですが、パンクの彼と愛する娘との結婚を認めるとは思いません。何か理由をつけて投獄か追放するのが関の山と思いました。原題は、セバスの希望は、こだまとなってむなしく戻って来ると言う意味も含めているのかと思いました。

 

奥深い南米の山岳地帯の雰囲気もよく出ていて引き寄せられました。