<ラジュー出世する(Raju Ban Gaya gentleman・印・1992)> ★★★★

 

 

私の知らない歌手ばかりでワイワイ騒いでいる「紅白歌合戦」よりも、気楽に見られるインド映画の方が良いと録画してあったのを見ました。登場人物がいきなり歌い出したり、群衆が加齢に踊るいつものインド映画のパターンですが、主人公が本当に大切なものは何かを学んでいく課程がスピーディーに展開されます。

 

>ダージリンの大学で建築を学んだラジューは一旗揚げるためにボンベイにやって来ます。しかし、あてにしていた友人は夜逃げして、大道で口上を生業とするジャイに拾われます。そこで、二階から誤ってラジューに水をかけてしまったOLのレヌは、やがてラジューと恋仲に。レヌの紹介で彼女の勤めるゼネコンに就職します。ラジューは社長令嬢サプナの発案にも大胆に反論して彼女に気に入られ、あっという間に昇進して行きますが、レヌとの仲は隙間風が吹くようになります。さらに彼の出世を嫉妬したライバルたちによる罠がラジューを待ち受けます。社長の命令でしぶしぶ手を染めた贈賄にも慣れて来てしまいます。レヌはそんな彼に愛想をつかして別れを継げます。そんな時、彼が責任者となった工事現場で崩落事故が発生して4人の死者を出しますが、それは元上司で今は同格のマルホトラの陰謀でした。彼は自分の息子をサプナと結婚させて、次期社長を狙っているのでした。しかし、社長は社名に傷がつくのを恐れて、過激派のテロだとラジューに言わせます。ラジューは身の潔白を示すために新聞社にリークします。其れがきっかけで裁判が開かれますが、マルホトラはヤクザを使ってラジューの証言を暴力で阻止しますが、重傷を負いながらもジャイに救われ、証人台に立ち事実を証言します。しかし、他の商人たちは社長やマルホトラに忖度して、彼の証言を打ち消します。ラジュー敗訴というところでサプナが証言台に立ち、ラジューの証言を真実であると証言します。重傷の見で裁判所を出るラジューに、あなたは本当に愛する人のところへ行きなさい、と諭します。一旦はダージリンへ帰ろうトスルラジューでしたが、思い直してレヌに近寄り抱擁します。

 

突然、俳優が歌い出したり、群舞が延々と続くのはいつも通りのインド映画で3時間近い長尺作品で、正義は勝つ、金や地位がすべてではない、という極めて通俗的な主題で、格別の目新しさはありませんでした。しかし、口上師(というような大道芸人がインドにはいたようです)が、世の中を皮肉りながら早口でしゃべりまくりながら、狂言回しのように登場しているのが面白いキャラクターでした。

 

学歴社会、賄賂、破壊工作・・・・当時のインドの社会情勢をうまく撮り込んで知るとは思いましたが、主演のシャー・ルクー・カーンという俳優は、この映画のヒットで一躍人気スターになったそうですが、私的にはそれほどの俳優には思えませんでした。