<オーバー・エベレスト 陰謀の氷壁(冰峰暴/Wings Over Everest。中/日・2019)> ★★★☆

 

 

珍しい中国製の山岳アクション映画ですが、主演が日本の俳優・役所広司、中国人の他、ネパール人やアメリカ人も出演して、今の中国の勢いを反映する極めてグローバルな作品でした。ただ、日本人役ではないのに、あえて役所広司を主演に配した意図は判りませんでした。当初から日本輸出を狙ったのかも知れません。

 

>エベレストの頂上直下で遭難の絶えない通称“デス・ゾーン”にインドの飛行機が墜落します。機内には数日後に開催されるヒマラヤ周辺諸国の平和を左右する重要機密文書が積まれていました。一方、ジアン(姜)の率いるネパール・カトマンズに本部を構える民間ヒマラヤ救助隊「チーム・ウイングス」は、受注が減って採算を苦慮しているところへ、無線担当のスヤが、高額の報酬を条件にインド政府の特別捜査官ヴィクターとマーカスのガイドの事案を持って来ます。会議開催まで66時間の余裕しかありません。ジアンは、女性ながら超一流の技術を持つシャオタイズ(小袋子)、アメリカ人のジェームス、ネパール人のタシと共に2人のガイドに出発します。しかし、途中で、特別捜査官2名が殺害されていて、ヴィクター等は秘密文書による平和条約締結を阻止しようとしている組織からの偽物であることが判明します。しかし、二人は銃で捜索を続行するよう迫ります・・・・・

 

ということで高度7~8000mの氷壁でのアクションが、役所広司の奮闘を始め、これでもか、これでもかと展開されます。氷点下で空気の薄いそんなところで、マスクをせずに取っ組み合いなんか出来るのかと思いましたが、役所広司もロープに吊り下がったりして大奮闘の挙句、終盤近くで墜落死してしまい、生き残ったのはハリウッド映画なみにシャオタイズだけでした。書類も乱闘の最中に逸散してしまいますが、平和条約は無事締結されたというので、何のために偽捜査官が50万弗も支払って書類を奪取しようとしたのかもよく判りませんでした。

 

シャオタイズが氷壁から滑落して辛うじて掴まって助かった洞穴に恋人の遺体があったり、突っ込みどころ満載のうえ、撮影はもっと低い別の山で行ったと思いますが、忙しい年末に2時間を費やすほどの作品ではありませんでした。