<ライフ (LIFE・米・2017)>★★★☆

 

 

 

原題通りの邦題ですが、この場合の”LIFE"は”命”とか”生活“ではなく、“(或る)生命体”という意味で使っているようです。無人火星探査機が持ち戻った火星の土壌を国際宇宙ステーションの船内で分析していると細胞を発見、初めての地球外生物の発見と喜んでいるのも束の間、その細胞がみるみる成長・拡大化して乗組員を襲い、6人中4人が殺害され、残った2人は1人乗りの緊急脱出機でそれぞれステーションを離れるが・・・・というSFホラー作品で、全編を通じてステーション内での密室劇となっています。6人のクルーの一人を真田広之が演じています。

 

>火星探査機から回収したカプセルを国際宇宙ステーション(ISS)は、カプセルの中に未知の地球外生命体とみられる細胞が発見し。「カルビン」と名付けられ、生物学者のヒューはその細胞の培養を開始ますが、細胞は急速に成長拡大し、ヒューを気絶させます。システムエンジニアのロイはヒューを救出しますが、足にカルビンが絡みつき窒息死させていまいます。カルビンは通信設備を故障させて地球との交信を妨害、女性司令官のカテリーナは船外作業を開始しますが、そこにカルビンが襲い掛かります。カテリーナはカルビンを道連れに宇宙空間に離脱しようとしますが、カルビンはISSにまとわりつき、彼女の死は無駄になってしまいます。システムエンジニアのショウ(真田広之)はエンジン噴射でルビンを排除しようしますが、逆にISSは燃料切れで制御を失い、大気圏への落下を始めました。カルビンは船内に侵入、ショーとヒューも殺害されます。残された医師のデヴィッドと検疫官のミランダ、ショウ、ヒューは全ての侵入経路を遮断しましたが、まんまと侵入したカルビンはヒューを殺害、ショウはカルビンを船外におびき出そうとして失敗、宇宙空間に投げ出されます。救難信号を受けて地球から飛んできた宇宙船ソユーズは、乗組員を救助するのではなく、ISSを地球から遠ざけるようとします。ために派遣されたのではなく、ステーションを地球から遠ざける措置のために派遣されたものでした。残されたデヴィッドとミランダは1人乗りの脱出用ポッドが2機あるので、デヴィッドが囮となってカルビンを道連れに宇宙空間へ向かい、ミランダのみ地球へ帰還させようと提案しますが、ミランダはその逆を主張します・・・・・・・

 

偶然にしても、カプセルの中の微量の砂の中にその細胞があったのなら、火星全体にはそれがうじゃうじゃいそうなものでだし、火星の大気とISS内の空気とは成分も量も違うのにISSの中を自由に動き回る、火炎を浴びてもビクともしないのは何故?、というような突っ込みどころはありますが、カルビンが妙に人間っぽくなく、タコかイカみたいな生物なのは納得出来ました。

 

ISSには日本人を含む各国の専門家が乗り組んで協調しているのに、危機に際して飛来したロシアの宇宙船ソユーズは救出ではなく、ISS破壊のために来たというエピソードは現代の世界を暗示しているような設定でした。

 

どんな危機にあっても、ヒロインだけは必ず助かるというのがハリウッド映画の定石ですが、その点でこの作品は想定外でした。