<アレキサンダー大王』(Alexander the Great・米・1956)>★★★★

 

 

NHK-BSで放映された古いハリウッド映画ですが、ロバート・ロッセン監督、主演のリチャード・バートンに加えてフレドリック・マーチ、クレア・ブルーム、ダニエル・ダリューなどの懐かしい名前が出ていました。はロバート・ロッセン、音楽はイタリアの作曲家マリオ・ナシンベーネ。古代ギリシア・マケドニア王国の国王アレクサンドロス3世、一般には“アレキサンダー大王”の生涯を描いた歴史劇映画です。

 

>BC356年、マケドニア国王ピリッポス2世と王妃オリュンピアスの間に生まれたアレキサンダーは青少年時代は哲学者アリストテレスを家庭教師として学びますが、その間、父王は国土拡大のため戦場に出て不在がちです。BC338年、父王に従ってアレクサンドロスは一軍の将としてギリシアの南部に出兵しカイロネイアの戦いでアテナイ・テーバイ連合軍を破り、マケドニアの勝利に大きく貢献し、父ピリッポス2世はこれによって全ギリシアの覇権を握ります。しかし、このころ、ピリッポス2世はパルシネを愛し王妃を疎んじようになり、母を慕うアレクサンダーと対立するようになりますが、336年に護衛に暗殺されます。アレキサンダーは犯人を即刻殺害し、20歳の若さでマケドニア王を継承し、父王暗殺後に混乱に陥っていた全ギリシアを再び統一します。更に、父王が果たせなかった東の大国ペルシャ征服を目指し、イッソスでダレイオス3世自らが率いるペルシャ軍10万と遭遇して勝利を収めますが、裏切った部下が大王を殺して和睦を申し出ますがこれを拒否してペルシャを征服します。この過程でおいてアレキサンダーはペルシャ帝国の後継者を宣し、ペルシャ王の王衣を身にまといペルシャ風の儀礼や統治を導入したため、マケドニア人の反発を招きます。BC326年、アレキサンダーはインドまで進出しますが、10年に及ぶ遠征に部下が疲労を理由にこれ以上の進軍を拒否したため、やむなく兵を返すことにします。大帝国の首都に定めたバビロンに戻ったアレキサンダーは、祝宴中に倒れて高熱に浮かされ、「最強の者が帝国を継承せよ」と遺言してBC323年、32歳の若さで亡くなります。

 

全体としては、アレキサンダー大王の生涯をいくつかのエピソードを交えて絵巻物風に描いただけで、両親の不和に悩み、父を殺され、帝国を背負っての苦悩や迷いは深く描かれてはいませんでした。確かに彼は32歳の若さで亡くなりますが、彼の業績を見ればそれなりのオーラがあった人物と思われますが、リチャード・バートンの演じるアレキサンダーにはそのオーラが感じられませんでした。

 

ペルシャとの合戦は数百頭の馬と戦士の壮絶な戦闘は、まだCGの未発達の当時としては実際にそれだけのエキストラを使ったのでしょうが、大スペクタクルで見応えがあり、ハリウッドの底力を示していました。ハリウッド映画らしく、王妃をはじめとする女性が随所に登場して華やかさを添えます。宮殿もなかなか豪華でした。ただ、ダレイオス大王の宮殿モアレキサンダー大王の宮殿も荒野の真ん中にポツンとあって周囲に王都らしい街が見当たらないのは不思議でした。