<ミシシッピー・バーニング(Mississippi Burning・米・1989)> ★★★★☆

 

 

 

19964年に米ミシシッピ州フィラデルフィアで公民権運動家3人が殺害された事件をモデルにしたサスペンス映画で、アカデミー撮影賞を受賞したそうです。映画は、公民権活動をしている2人のユダヤ人と1人の黒人の行方不明事件の調査に派遣されて来たものの、町長や保安官、KKK等が捜査の妨害を図る中で苦闘する2人のFBI捜査官を描いています。KKK (Ku Klux Klan)はプロテスタントのアングロ・サクソン人のみがア神に選ばれた民で、黒人やアジア人、ヒスパニックは排除すべきだあると主張し、そのためには武力行使も認められるとする過激な選民思想団体です。

 

>ミシシッピ州フィラデルフィアで3人の公民権活動家が行方不明となった事件を調査するために、FBI捜査官ウォードとアンダーソンが派遣去れて来ます。しかし、街では人種差別が公然と行われており、捜査を開始した二人に対し町の保安官のペルやKKKの町民が捜査の妨害をします。FBIアンダーソンは同州出身の元保安官なので、南部人の意識をよく理解してのらりくらりと町民と接しながら情報を得ようとしますが、北部の大学を出て若いものの階級では彼の上司にあたるウォ―ドはそれが気に入らず、真向から事情聴取にあたったり、予備兵100人を動員して死体探しに協力させます。しかし、ウォードに詰問されて何らかの情報を漏らした黒人たちが、相継いでKKKの襲撃を受けて、殺されたり住家に放火されて、ウォードようやく事態の深刻さに気付きます。3人の殺人犯を逮捕して州の裁判にかけますが、裁判では3人に3年の懲役を命じたものの5年間の執行猶予を付けて釈放してしまいます。アンダーソンは美容院を営むペル保安官の妻と親しくなり、彼女の言葉の端から3人の遺を埋めた場所を探り出しますが、ペルは妻の裏切りに激怒して彼女に瀕死の重傷を負わせます。FBIからは事態の深刻さから応援隊が派遣されて来ます。黒人の復讐を装ってティルマン町長を誘拐脅迫して、事件の首謀者を把握し、関係者の一斉逮捕に踏み切ります。彼らは州の裁判ではなく、公民権活動妨害を重視する国の裁判によって町長、保安官、KKK団員たちは5~15年の禁固刑に付されます。傷の癒えたペル夫人は美容院再開を決意します。村はずれでは事件の解決を喜ぶ黒人たちの野外集会が開催され、これまで恐れていて顏を出さなかった白人の顔も見られます。

 

アメリカでは今も根強く人種的差別や偏見が根強く残っていて、白人警官による無抵抗の黒人容疑者射殺事件などが頻繁に起きているようですが、60年前、それももととも人種差別の強かったアメリカ南部の田舎町となれば猶更の事だったと思います。曲めて深刻な内容の重厚な作品ですが、深刻な状況の中で、ジーン・ハックマンが演じる老練な捜査官が適度なユーモアを交えて緊張をほぐしていて流石でした。ただ、最後にばたばたと犯人逮捕に踏み切って一見楽尺はちょっと呆気ない終わり方で、もう少し2人の苦闘との繋がりが欲しかったと思いました。