ティント・ブラス 郵便屋 (Fermo posta Tinto Brass・伊・1995)> ★★★★

 

 

ティント・ブラスというのは私は見ていませんが、<背徳小説>という作品で知られている監督だそうで、タイトルに自分の名前をあえて入れるのはかなり人気のある監督のようです。ただ、邦題の“郵便屋”というのはちょっと的外れで、有名監督のもとにファンの女性たちが自分の経験や悩み事を郵便で送って来るだけで、郵便配達が主人公ではありません。彼のファンである女性たちが手紙や時にはビデオをブラス監督自身が登場して読んでいるうちにその内容が映像化されるというオムニバス形式になっています。ただ、そこでわが国でか本国でか判りませんが、たびたびヌードどころかクローズアップも出て来る陰毛や性器にはさすがにボカシが入っていました。R-18指定になっているとはいえ、よくお堅い映倫の許可が下りたと思います。それにしても、次々に登場する女優たちの姿やセックス・シ0ンがスタイリッシュな映像で明るくあっけらかんと描かれていて、陰湿な感じが皆無なのはさすがにイタリア映画だと思いました。

 

>ティント・ブラス監督の事務所には、毎日のようにファンの女性たちから手紙や写真、時にはビデオが送られて来て、次の作品の参考にと監督自らが読んだり、秘書のルシアに読ませて聞いていたりしています。

>ミレーナは人影のない浜辺で恋人とセックスしていたら、なんとすぐそばに同じようなカップルがいて、互いに見せ合って刺激を受けます。

>エリザベータは人気のない古代闘技場の真向かいの席にいる男(日本人(笑))を見出し、下半身を露出して見せびらかせて当惑させて自分も満足します。

>エリーナは夫が冷たくなってテレフォン・セックスで気を紛らしていましたが、それでも飽き足らず娼婦になります。そこに夫が現れて仮名同士で激しく燃えて夫婦の愛を取り戻します。

>レナータは友人にビデオで夫との情交を撮影して貰いますが、友人もそれに触発されて自分の夫を入れ、2組のカップルが刺激しあいますがやがて、相手を入れ替えての交わりとなります。

>ロッゼーラは夫に誘われ、伯爵夫人家の乱交パーティに恐る恐る参加しますが、やがて誰よりも享楽の渦中にはまって行きます、

>イヴァーナの夫は飲んだくれの賭け事好きですが、ある日、所持金をすべて失って、イヴァーナの肉体を賭けてそれも負けてしまいます。イヴァーナは当初は激怒しますが、夫の命にかかわると出かけて行き、帰宅した時には上機嫌で笑い転げます。

 

 次々と登場する出演女優も、これは仕事のうちと割り切ってか、堂々と露出して見せていました。その中で、秘書のルシアは、監督の前ではかなりきわどい素振りを見せ、監督もなんとなくそそられますが、いざとなるとルシアは身をかわして最後まで何事もなく終わり妙に印象的でした。