<国境は燃えている (Le soldatesse・伊・1965) > ★★★★☆

 

 

 かなり古いイタリアのモノクロ映画ですが、デジタルリマスター版がCATVで放映されて見ましたが、掘り出し物と言って良い作品でした。アンナ・カリーナアとかマリー・ラフォレなど、懐かしい女優も出演しています。映画に現れる“黒シャツ隊”はの義勇兵組織ですが、イタリア国王(当時)直轄の舞台で国防軍と同等の権力を持っていたそうです。子の.映画に登場する黒シャツの少佐もそうですが、第1次世界大戦中のイタリア陸軍出身の隊員が多く、黒シャツが制服であった黒シャツが武装行動隊の制服として採用されるようになった。フェッラーラの隊長でした。

 

>第2次大戦下の1940年、ドイツ・イタリア枢軸国はギリシャ全土を占領していましたが、山岳地帯にはギリシャ人のレジスタンスがたてこもってゲリラ活動を続けています。そんな中で、アテネに駐在していたマルチーノ中尉は12名の従軍慰安婦をトラックで部隊に運ぶ任務を命令されます。運転は地理に詳しいカステローニ軍曹が担当します。慰安婦の一人トウーラの妹が一行に忍び込みます。更に前線に行くという黒シャツ隊のアレッシ少佐も割り込みます。指定された駐在舞台に1~2名ずつを降ろしながら一行は奥地へ向かいますが、マルチーノはエフティキアという無口な女に心を惹かれます。荒涼とした山道でパルチザンの襲撃に遭い、トラックは炎上し、女の1人エレニッツアは重傷を負います。一行は廃屋に避難しますが、ここを襲われたら全滅するので最寄りのイタリア軍駐屯地に脱出するにはエレニッツアは足手まといだと、止めるマルチーノふぉ振り切って少佐が射殺してしまいます。に逃げこんだ。もう一度襲われたら皆殺しだ。逃げなければならない。一行は歩いてオクリダに辿り着くと、黒シャツ隊がゲリラ掃討のために町に火を放ち、3人のゲリラを無造作に銃殺していました。今まで表情を変えなかったエフティキアが涙を見せます。その日、二人は最後の夜を共に過ごします。翌朝、彼女はパルチザンの仲間に加わるために山道を去って行き、以後2度と会うことはありませんでした。

 

冒頭に志願して来た12名の慰安婦に食料や貴重な缶詰が配られます。韓国は、日本が従軍慰安婦を強制連行したと今もって抗議していますが、実態はこの映画のように生活に困った女性や元々の娼婦が自ら応募したケースが多かったのではないかと思います。ギリシャがイタリアに従軍慰安婦の件で賠償請求をしたという話は聞いたことがありません。

 

前半は13名の女性を乗せたトラックののんびりしたロード・ムービーで、黒シャツの少佐や運転手軍曹の“つまみ食い”のエピソードは如何にもイタリア映画ですが意外にサラッと流して気持ちの良い笑いを誘われました。途中で、線路に放置された客車で一夜を過ごしますが、ここではマルチーノとエフティキアの逢引きがしっとり描かれていました。

 

しかし、道中で先行した黒シャツ隊のトラックがゲリラに襲われ、彼らに引き渡した女性の1人を含めて全滅してしまった現場にさしかった辺りから一転して緊迫し、イタリア軍が火炎放射器で村を焼き払い、捕らえたパルチザンを無造作に銃殺したりで、戦争のむごたらしさを描いていて、見終わってみれば見事な反戦映画となっていました。ただ、ラスト、マルチーノが勝手にエフティキアを逃がしてしまって軍規に触れるのではないかと気になりました。