<私と同じ顔の、おじさん ((Nu naoga onu・エストニア・2017)> ★★★☆

 

 

今月26日から6月21日まで、京橋の国立映画アーカイブ(旧名・東京国立近代美術館フィルムセンター)で「EUフィルムデーズ2018」が開催され、今年はEU諸国の30作品が上映されます。普段見られない珍しい国の映画が見られる上、シニア料金310円というのも魅力です。今年は6月上旬に海外からの来客やクラス会、飲み会、一泊旅行が集中してしまって見に行ける機会が少なそうですが、今日は手始めにエストニア映画<私と同じ顔の、おじさん>を見て来ました。妙な邦題ですが、英題も“The Man Who Looks Like Me”になっています。親子なので顔は似ているものの、性格が全く違って長い間断絶していて父親を父親と思えない男の姿をかなりユーモラスに描いていて、日本初公開の作品でした。

 

 

エストニアはリトアニア、ラトヴィアと共にバルト3国の一つで、九州より少し大きい程度で総人口130万人ほどのちいさな国で、長い間、ナチス・ドイツやソ連に支配されていて独立を果たしたのは1991年でした。、

 

35歳の音楽評論家のフーゴは妻の不倫から家を出て別荘暮らしを始め、執筆に専念して気を晴らそうとしていますが、そこへジャズ・マンで長い間繋がりを断っていた父親のライヴォがひょっこり戻って来ます。ライヴォは前立腺癌が転移して余命数か月だと言いながら、自由奔放で傷心のフーゴの意を全く介せず、TVをがんがんかけたり、執筆した文章や食事に文句をつけてフーゴを悩ませます。たまたま、近所で精神セラピーの合宿があり、フーゴはセラピストのマリアンと親しくなりますが、父は2人の仲にもちょっかいを出します。フーゴは嫌がる父親を無理やり病院へ連れて行き診察を受けさせると、前立腺癌などなく嘘だったことが判ります。ライヴォの70歳の誕生日がやって来て、フーゴはサプライスとしてライヴォが海岸で遭難して亡くなって通夜ということで古い友人を集めます。そこへ戻って来たライヴォは怒って激しい雨の中へ飛び出して行きます。フーゴは必至に探し出して快方しますが、父の持っていたトランクの中に彼の子供の頃の写真や絵画、彼の著書に関する新聞記事の切抜き等が大切に保存されていたことを知り、父親の愛情を知ります。ライヴォもフーゴを悩ませていたことに気づいて去って行き、合宿を終えたマリアンも去り、別れた妻からは新しい男とドイツへ行くと知らせて来て、フーゴも元の家へ戻りますが・・・・・・

 

理屈っぽく繊細な神経の持ち主のフーゴと、他人のことは一切気にせず自由奔放に振る舞うライヴォと、全く正反対の性格の父子の対比がかなり誇張して描かれていましたが、KYで粗野なライヴォにはどうも共感出来ず、フーゴに同情してしまいました。しかし、途中経過から結末はほぼ推測出来、その通りの終わり方で新鮮味や意外性には欠けていました。

 

砂浜に打ち上げられている廃船や、氷の塊の溜まっている冬の海岸など北欧らしい風景は随所に見られましたが、登場人物以外には村や町の住人の生活は全く見られなかったのは、映画の出来と関係ありませんが民族性を期待していた私には少々物足りませんでした。