<カジュアリティーズ(Casualities of War・米・1987)> ★★★☆
ちょっと古い作品ですが、ベトナム戦争中に実際に起きた米軍陸軍兵士による女性レイプ事件を題材にした1987年制作の映画ですが、監督がブライアン・デパルマ、音楽がエンリオ・モリコーネということで期待してCATVで見ました。強い倫理観を貫き通して上官や同僚を告訴する兵士をマイケル・J・フォックスが演じています。
>1966年、ベトナム戦争の最中、ミザーブ軍曹が率いる小隊はジャングルの中を進んでいて、エリクソンがベトコンの落とし穴に落ちかかりますが、ミザーブに危機一髪救出されます。更に進軍中、小隊は北ベトナム軍の奇襲に遭い、あと数日で除隊するはずのブラウンが戦死して帰還します。小隊は再びパトロールの命令を受けますが、ミザーブが、「途中の村で少女を拉致して強姦しよう」と提案し、オアンを拉致連行し、ミザーブ等4人で実行に至りますが、エリクソンは断固拒否して非難します。エリクソンが信頼していた同僚のディアズも上官の命令ということで心ならずも加わります。エリクソンはミザーブらがいない隙を見計らってオアンを逃がそうとしますが見つかってしまいます。小隊はベトコンが駐留する川辺に到着して偵察を始めますが、ミザーブは体調を崩して咳のとまらないオアンをディアズに殺すように命令しますが、エリクソンがそれを止めようと自動小銃を空に向かって発射したことから小隊の存在がバレて銃撃戦となります。オアンはその最中に逃げ出そうとしますが、崖から転落して死んでしまいます。その直後に救援のヘリコプターが到着して小隊は救われます。数日後、基地へ戻ったエリクソンは、小隊を拉致と強姦の容疑で上官に告発しますが、上官は受け付けません。エリクソンがトイレに行くと、手榴弾が投げ込まれて爆発しますが、辛うじて死を免れます。それがミザーブ仕業と判断した彼は従軍牧師に事件の一部始終を暴露し、その結果、軍法会議が開かれてミザーブ等4人に有罪判決が下されますが、直属の上官は有罪は一時的で、じきに戦場に送り戻されるだろうと嘯きます。
原題は“戦争における日常茶飯事“というような意味だと思いますが、戦争による一般女性の悲劇を描いています。韓国は戦後70年以上たった今でも、日本軍の従軍慰安婦問題を非難していますが、米軍だけでなく韓国軍もヴェトナム戦争参戦中、婦女暴行事件を何度も起こしていることを米紙が告発していても頬被りだそうです。罪のない一般人が悲惨な被害を蒙るこういう事件は断じて許されるべきではありませんが、残念ながら人間社会での争いの中では太古の昔から繰り返されていたようです。この映画でも、主人公が直属の2人の上官に直訴しても、「よくあることだ」と冷たくあしらわれ、転属で処理してしまおうと考えます。我が国の最近の財務省や文科省もそうですが、スキャンダルは公にせず隠蔽してしまおうとする考えは、文武に関係なくあらゆる組織において存在するようです。この映画では、主人公が思いあぐねて従軍牧師に相談したために軍法会議が開催され、事件が公になり、書物になり、映画にもなったわけですが、闇から闇に葬られてケースは無数にあったと思います。同時に、組織内にあっては如何に正義漢であっても少数派だったら異端視されてしまうことを物語っていました。
残酷な運命にもてあそばれて悲惨な最期を遂げるオアンを演じた女優は Thuy Thu Le となっていたのでヴェトナム系アメリカ人だと思いますが、殆どセリフのない中で表情だけで恐怖心と苦悩をはっきり評点していて秀逸でした。エリクソン役のマイケル・J・フォックスはやや一本調子が目立ち、悪役のミザーブ軍曹役のショーン・ペンの 憎々しさに食われてしまっていました。

