<宇宙人王(ワン)さんとの遭遇(L’Arrivo di Wang・伊・2011)> ★★★

 

 

 

 

 CATVの番組表を見たらタイトルからして怪しい作品でしたが、珍しいイタリア製SFで1時間半ほどの長さなので録画しておいて見ました。日本でも劇場公開されたようですが、全く知りませんでした。何故かローマに表れて確保された宇宙人が、地球で最も多くの人に使われているという理由で中国語を話し、自らを「王(ワン)」と名乗るというのがタイトルの由来です。イカのような形をしたチャチな縫いぐるみと言い、どこかの空きビルを使ったようなセットなどすこぶるチープな内容で、制作費も数百万円?とさえ思ってしまいます。しかし、見ていればそれなりに飽きもせずコスパな映画(笑)でした。

 

>ローマに住む中国語翻訳家のガイアが中国語の同時通訳を依頼する極秘注文が来て、相手も場所も知らされず目隠しされて真っ暗な地下の事務室に連れて来られます。暗闇の中で調査官の厳しい質問と、それに対する“王さん”と呼ばれる男の奇妙な回答を通訳し始めますが、相手の表情が判らなくては真意を通訳しきれないというガイアのクレームで灯りがつけられますが、相手は椅子に縛られたイカのような姿の異星人でした。地球侵略ではないかと厳しく追及しますが、王は地球人と友好を結ぶために来たと言い張るので、遂に電流による拷問が始められます。王の苦悶の姿に同情したガイアは拷問を止めるように懇願しますが、聞き入れられません。意を決したガイアは、調査官の隙をついて王を連れ出して取調室を抜け出して脱走します。しかし、漸く地上に出た2人の見たのはUFOに攻撃されて破壊されているローマの姿で、王はガイアに向かって「このバカ者」と呟きます。

 

異星人確保という世紀の大事件なのに、極秘とはいえ取調官はたった一人、鍵をかけられたドアの外に2人の男がいるだけというなんともチープでお粗末な設定でした。しかし、世界で一番多くの人に使われている言葉は中国語であるとしてその大国ぶりを認めたうえで、いかなる詰問や拷問にも屈せずに「友好関係樹立」を強調していながら、実際は地球に派遣した王が虐待されていることを知った(その通信方法は全く無視されていますが)異星人は一気に多数のUFOでローマを火の海にしてしまいます。それは最初から地球侵略を計画して攻撃を準備していたことになり、この映画の監督は世界各地への経済進出の凄まじい現実の中国に対して強い不信感を抱いているのではないかと思いました。実際はもっと単純でそんな深い考えはなく、奇抜な発想を低予算で映画化しただけかも知れませんが、そう忖度して見ていれば最後まで見続けられる映画でした。