30日の不倫(Cosa voglio di più・伊・2010)>  ★★☆


       30日の不倫



『イタリア・ミラノを舞台にして、結婚生活に不満を抱く男と他の女性の不倫の恋を描いた成人向けドラマ映画。イタリアのゴールデングローブ賞にノミネートされた作品である。』という紹介に釣られて見た作品です。



>ミラノの保険会社で働いているアンナは、家に帰れば気のいい夫アレッシオが待っていて、変化は少ないながらも幸せな毎日を送っていて不満があるわけでもありませんが、何か物足りなさを感じています。夫は子供を欲しがっていますが、キャリア・ウーマンの彼女にはまだその気がなく密かにピルを飲んでいます。そんな或る日、会社のパーティーにケータリングでやって来たドメニコと出会って一目惚れして、積極的に誘います。ドメニコにも妻子があり、当初は尻込みしていますが、やがてお互いに強く愛し合うようになってしまいます。郊外のラブ・ホテルに行き、以後、2人は残業を口実にデートを重ねます。ドメニコの妻が何となく気付き、毎週水曜日の退社後、スキューバ・ダイビング教室に通っているところへ、妻が子連れで様子を見に来ているところへ、アンナもストーカーまがいにやって来てドメニコを怒らせてしまいます。しかし、それでも離れられない2人は、強引にモロッコへ週末旅行に行って存分に異国情緒を味わって来ます。気の良いアレッシオはそんな妻を強く責めることが出来ません。しかし、ミラノ空港に着くと、アンナはドメニコを置き去りにして、夫の待つ我が家へと戻って行きます。



この映画の最大の欠点は主演陣の魅力の無さでした。アンナ役は金髪でイタリア人っぽくなく、パンダのようなアイ・メイクで、ボディ的にも凡そ魅力に乏しく、ドメニコ役は猿顔で、彼女が何で一目惚れしたのか不思議な怖い顔ですし、気立ては良いのですが頭の回転が鈍く優柔不断なアレッシオを演じる俳優が100kg以上あるようなデブちゃんです。勿論、現実世界はそうそうイケメンや絶世の美女ばかりではなく、この映画のような人間が普通かも知れませんが、ドキュメンタリー映画ではなく大人の男女の不倫劇なので、私の好みかも知れませんが、もう少し考えて貰いたかったと思いました。



作品としては、アンナがデブ以外は申し分ない夫(日頃からピルを飲んでいるので、セックスレスでもないようですし)に飽き足らず、怒涛のごとく何もかも正反対の男に惹かれて行くのは判らないでもありませんが、その心情の描写が不足してただ情欲に溺れてしまったように見えました。例えば、夫婦でスーパーで買い物をしているシーンからいきなりドメニコとのラブ・ホテルのシーンに切り替わったりするような、経過説明の足りないシーンが数か所ありましたが、これはTVの放映時間の制約からカットしてしまったのかどうか分かりませんが、そうでなければ編集の拙さだと思いました。結果として、一時の不倫で終わり、互いに家族のもとへ戻っていくことで目出たし目出たしという結末でしがが、それでこの先、嵐のあとのような平穏な生活が再開されるものかどうかは疑問の残るところでした。