<シャングリラ(Finding Shangri-la・中国・2008)>
この作品も昨年のNHKアジア映画祭で公開された作品の一つで、「台北で幼い息子を亡くして悲嘆に暮れる女性が、美しい自然に満ちた雲南省チベット族自治州への旅を通し、再生していく姿を描いたヒューマンドラマ」ということで、BS2で放映されました。
>台北に住む若く裕福な社長夫人のジーリンは幼い息子・トントンを交通事故で亡くしました。加害者との示談を主張する夫に対して断固裁判を主張するジーリンは対立して、夫婦仲も冷え切ってしまいます。ある日、息子が生前に絵本を見て描いた雲南省チベット族自治区にある梅里雲山という仏教の聖山の絵を見つけると、夫にも無断で現地へ飛び立ちます。そんな彼女を台北から尾行する若い男がいます。アレックスと名乗る青年は、途中の町でバッグごとそっくり置き忘れて途方に暮れるジーリンに近付いて何かと親切にし、バイクをレンタルして彼女と共に梅里雪山へ向かいますが、ジーリンも次第に彼に惹かれて行きますが、ふと息子を思い出して黙って分かれてトラックに便乗して山麓の村・シャングリラへ着きます。
>しかし、そこで山道を滑落し、気づいた時には傷ついて民家のベッドに寝かされて、一人の少年が付き添っていました。街に置き忘れたバッグも村の行商人が見つけて届けてっくれていました。ジーリンは少年に乗馬を教わり、彼の案内で“秘密の場所”へ案内されます。険しい山道を行き漸く到着すると、少年は亡き息子・トントンの生れ変りになっていました。驚いた彼女は滝つぼに転落します。
>ふと気づくと、彼女はシャングリラの病院にいて、そばには夫が見守っていました。彼女は山道で倒れていたのを発見されて連れて来られたのでした。彼女は漸く息子の死も裁判のことも吹っ切れて、やはり病院へやって来たアレックスを無視して夫と共に台北へ帰ります。
ジーリンが梅里雲山の麓のシャングリラに到着するまではまずまずの進捗で、中国人監督の作品にしては、ジーリンに民族衣装を着せたりして、チベット自治区をまるで遠い異国のようにエキゾチックに描いていて旅情を味わえました。ジーリンの息子一途の悲しみもうまく描かれていました。彼女が息子の面影を追いながらの一人旅で、ふと出逢った見知らぬ若者に次第に惹かれて、途中で宿泊したテント・ホテルで衝動的に肌を合わせてしまい、翌朝、後悔の念から一人去ってしまうのも母としてと女としてとの微妙な葛藤を女性監督らしくうまく描いていました。
しかし、梅里雲山麓の深い谷間で、現地の少年が突然、亡くなった息子の化身と気づくというのは余りに荒唐無稽でついて行けませんでした。全体としても、台北から雲南省に行くのは外国へ行くわけですが予め搭乗券を持っていたジーリンはともかくとして、彼女を追ってきたアレックスがバスにでも乗るようにパスポートもなく簡単に搭乗券を買って同じ飛行機に乗り込むあたりも不自然でした。そのアレックスにしても、ストーカーまがいになぜ遠い雲南まで彼女を追って行ったのか良く理解出来ませんでした。
カイロ映画祭で撮影特別賞を受賞したそうですが、随所で素晴らしい景観や、チベット族の生活や踊りが楽しめたのは大いに満足出来ましたが、物語としてはどうも納得出来ないままに終わってしまい残念でした。

