<自虐の詩> ★★★☆
何か気にいらないとちゃぶ台をひっくり返すシーンで売り込んでいた<自虐の詩>の試写会に行って来ました。原作は業田良家原作の4コマ漫画だそうですが、私はこの作品を全く知りませんでした。だから、原作を知っている人とは感想がだいぶ変るかも知れません。それにしても、最近は漫画や劇画の映画化が流行っていますが、小説の場合は読者のイメージが入り込む余地がありますが、漫画等では登場人物の容貌が明らかになっているので、読者のイメージも固定していて映画化も難しいと思います。例としては古いのですが、「サザエさん」を映画化したら(昔、江利チエミが演じましたが)サザエさんの顔も自ずと固定されてしまうでしょう。
<自虐の詩>については、私は全く原作を知りませんので、原作の持ち味を活かしているのか、全く別のものになっているかは判りません。ただ、前半では殆ど数分おきに笑いを誘うシーンがあり、原作が4コマ漫画だということがうなずけました。しかし、後半は主人公の少女時代の思い出と現実が錯綜してテンポが落ちてつまらなくなりました。シナリオの構成に問題があるような気がしました。
”幸も不幸も乗り越えた「夫婦漫才」ならぬ平成の「夫婦善哉」”と紹介されていましたが、確かに、ぐうたらなダメ亭主に健気に尽くす妻の姿という点では、かつて森繁久弥と淡路恵子の演じた「夫婦善哉」みたいで(場所も同じ大阪です)、あれだけ妻に尽くされたら男冥利に尽きると羨ましくなります。CGを多用して少々前の時代を再現した点では「3丁目の夕陽」の2番煎じとも言えます。主演の中谷美紀は、あれだけ好き駆ってされてもくっついている底抜けのお人好しで健気な女性をうまく演じていました。寡黙でパチンコと競馬三昧の内縁の夫を演じる阿部 寛はちょっとあざとさが鼻につきますが、原作を知らないのでそれで良いのかどうか判りません。ただ、男がぞっこん惚れて指をつめてヤクザから足を洗ってま、東京から大阪に移って同棲を始めたのに、相変らずぐうたらな生活を続けているのは所詮、ダメ男はいつまでたってもダメだと原作でも言っているのかどうか考えました。
又、主人公の女性は「私は不幸な女だ」ときめつけているのではなく、必死に幸せを追い求めているので、この映画に限って言えば<自虐>というのはちょっと理解出来ませんでした。
しかし、理屈は抜きにして、まあまあ楽しめる作品でした。
