他社製品の悪口を言いまくって商談がパーになった失敗談! | 失敗から学ぶ君のブログ

失敗から学ぶ君のブログ

営業一筋26年。数えきれない程の失敗や挫折を繰り返し、未だに失敗をしている中年オヤジです。今では畏れ多くも管理職を拝命させて頂いておりますが、組織運営も失敗の連続!そんな私が出会った本や失敗談、不思議体験や日々の出来事や感動した事をご紹介します!

まだ私が新人営業マンだった頃の失敗談です。

 

本社がアメリカにある某有名企業の商品を販売していたのですが、ライバルは常に日本製の某有名企業の商品でした。

 

ちなみに私の会社はそのグループの末端の枝葉のような会社でした。

 

給料ドロボー扱いされ、挙句の果てに上司と喧嘩して辞めましたが。

 

さてさて、とある田舎町にある会社の社長さんと、たまたま居酒屋でお会いし仲良くなったのですが、いかんせん、その社長さんの会社の商品は全て他社製品でした。

 

何とかこの社長さんに自社の製品を売りたいと考え、社長さんの会社に通い続けました。

 

しかし、雑談はしてくれるものの、自社製品を進めると必ず拒否されました。

 

私は思い切ってこう質問しました。

 

(以下会話文)

 

私:「なぜ社長さんの会社は、某メーカーの製品しか買わないんですか?」

 

社長:「うーん、君のところの製品も良いんだろうけど、イマイチ気に入らない点があるんだよねえ・・・」

 

私:「どの点が気に入らないんですか?」

 

社長:「以前から君の会社の製品の○○の部分の形状や大きさが、どうも機能性を落としている様で、気が進まないんだよねえ。」

 

私:「・・・そう言われてみれば、社長さんの使っているメーカーの製品とは明らかに形状も大きさも、自社製品の方が大きいですね。」

 

社長:「だろ?・・・まあ、よその会社の社長さんは、君の会社の製品の方が好きで買っているんだろうから、別にいいんじゃない?俺は、君の会社の製品は買わないけど、君と話しているのは結構楽しいから、いつでもお茶を飲みに来ていいんだよ。」

 

私:「うーん・・・・・・そうだ。社長、その形状がなぜそうなのか、私が調べて比較資料をお持ち致しますよ!」

 

社長:「・・・別にいいんだけど。」

 

私:「いやいや、社長さんと同じ理由で買って頂けないお客様も他にいるかもしれないし、何より私自身の勉強にもなりますから!」

 

社長:「そう?・・・だったら・・・そうだな。それで俺を納得させられたら買ってやるよ。」

 

私:「本当ですか?!よーし、しばしお時間を下さい。数日後には比較資料をお持ちして必ずやご納得して頂けるプレゼンにさせて頂きますから!!」

 

私はそう言ってお客様の会社を後にしました。

 

私は会社に戻って、すぐに本社にある技術営業部に問い合わせました。

 

翌日、資料がメールで送られてきました。

 

すると、やはりその形状や大きさが他社製品とは異なる理由と、その優れた優位性が記されていたのです。

 

その性能比較は、他メーカーのものとは群を抜いて素晴らしいもので、新人だった私は「俺の会社、スゲーじゃん!頭いい人いるなあ!」なんて感心しながらパソコンのキーボードを叩き、ワクワクしながら比較資料を作成していました。

 

その翌日、完成した資料を片手に、その会社の社長さんの所へと車を走らせました。

 

「ウヒヒ♡これで売れたも同然だな!」なんて、車でニヤケていました。

 

この後、最悪の末路を辿ることになるともつゆ知らず・・・

 

ピンポーン♪

 

以下会話分

 

私:「こんにちは~!○○会社の○○でーす!社長さんいらっしゃいますか?」

 

事務員さん:「どうぞー、お入りくださーい♪」

 

私:「失礼しまーす!」

 

社長:「おう!どうぞどうぞ!さっそく来たな!」

 

私:「社長さん!今日は注文書持って来ましたよ!今日こそは買って頂きますよ!」

 

社長:「そうかそうか!どれどれ。聞かせてくれるか?」

 

私:「なぜ弊社の製品があの様な形状なっているかと言いますと、カクカクシカジカでこうなんです。するとこの様な強度が得られまして、大きな生産性を産むことが出来るんですね!ちなみに、社長さんの使われている他メーカーの製品は、このような莫大な経費の掛かる開発費が無くて、何年も技術革新が出来なかったんです。だから弊社の製品よりこれだけ劣っているんですね!ご納得いただけましたか?これで買って頂けますね!?」

 

社長:「・・・・。」

 

私:「・・・?」

 

社長:「○○君。我社はね、先代の時代からあの会社の製品を買って使って来たんだ。君の会社はアメリカ製の商品で、確かに優れているのは知っていたよ。憧れだったよ君の会社の製品を使う事は。何度も売ってくれと当時のセールスマンに頼んだ事もあった。でもね、大手である君の会社は、当時のウチの与信を見て手の平を返すように言ったんだ。『この経営内容では、とても販売致しかねます』とね。」

 

私:「!!」

 

社長:「弱小だったウチの会社でも、親身になって付き合ってくれた日本のあのメーカーの商品が可愛いんだよ。一緒に戦国時代を戦ってくれた、いわば戦友みたいなもんかな。ウチの会社も、あのメーカーと共に成長してきたんだ。何人もセールスマンは変わったけど、そのメーカーのお客様を大切にすると言う企業理念は、君の会社には感じられないんだ。」

 

私:「で、ですが、製品は圧倒的に弊社の方が優れています!あのメーカーの製品は明らかにウチの製品よりも生産性が劣っています!社長、言ったじゃないですか!その形状がなぜそうなのか納得させられたら買ってやるって!」

 

社長:「理論や技術は納得した。が、君の説明の仕方にはとても納得する事は出来ない。むしろ嫌悪感すら抱いてしまうよ。他社の劣っている部分をなぜそこまで攻撃する?ウチの会社がなぜあのメーカーオンリーか、考えた事はあるかい?言ったよね。ウチは、あのメーカーと共に育ってきた戦友みたいなもんだって。」

 

私:「あっ!!」

 

社長:「そうだ。つまり、君のあのプレゼンは、私と私の会社そのものを否定したと同じ事なんだよ!なぜ使っているユーザーがそのメーカーの物が好きなのか考えた事はあるのか?先日も言っただろ?君の会社が好きな社長さんもいるだろうからって。使っている人は何らかの理由があって使っているんだ。例えばゴルフや時計、洋服のブランド。自動車メーカ―や好きなレストランやラーメン屋。皆同じだろ?それぞれ何かの理由や魅力が有ってお金を出すんだよ!君はそれを考えていない。ただ相手より優れていれば売れるんだって考えが君の目を曇らせている!」

 

私:「・・・。」

 

社長:「せっかく若くて楽しい魅力のあるセールスマンが来たなと、内心喜んでいたんだ。当時、相手にされなかったメーカーの営業マンがわざわざ来てくれるようになった。ウチの会社もここまで成長したんだなって。俺は、本当に買ってやろうと思っていたんだ。君がウチの使っているメーカーを否定しなければね。」

 

私:「すいませんでした・・・。」

 

社長:「さ、時間だ。これからそのメーカーの営業マンが来るからさ。君から買ったから、今回は勘弁なって断ろうと思って呼んだんだけど、逆に今までのメーカーに頼むことに決めたから。」

 

私:「!!わ、わかりました。失礼致しました。」

 

と言う事で、自社製品の優れている点がユーザーにどのようなメリットを生み出すのかと言うポイントのみを説明すれば良かったのですが、懇意にしているユーザの使っているメーカーを批判して、結果、商談がパーになってしまった失敗談でした!

 

ちなみにその社長さんとはそれ以降も継続して飲み友達でしたが、結果的に何も買ってくれませんでした!

 

涙!