今回は医学的な話になります。
重度の糖尿病と診断され、あと3日病院に来なければ手遅れで死んでいたかもしれない私。
地元の大きな病院で緊急入院する事になりました。
初めて見る巨大な点滴に、事の重大さを改めて認識しました。
点滴を入れて数分すると、すぐに体が楽になっていくのが分かりました。
久しぶりに味わう「普通の感覚」。
人間の身体の精巧さと医学の進歩に感心しながら深い眠りへと落ちて行きました。
約4時間にも及ぶ長い点滴も終わりに近付き、医師(以下先生と呼びます)が起こしに来ました。
「○○さん、起きてくださーい!○○さん!」
私は寝ぼけながらゆっくりと目を開けました。
身体のダルさも無く、喉の渇きの無い感覚を久しぶりに味わい、ゆっくりと身体を起こしました。
と同時に、この現実は「やはり夢じゃなかったな」と少し落胆してしまいました。
目が覚めたら全てが夢だったら良かったのに・・・。
自分のこれまでの不摂生を猛烈に反省する事になりました。
辺りを見渡すと、私の妻やヨチヨチ歩きの幼い子供達。
実家の父母に妻の父母と、一族勢ぞろいで私を見守ってくれていました。
私は申し訳ない気持ちで一杯になり、ただただ「すいませんでした」と謝る事しか出来ませんでした。
日頃の超不摂生の話をしたら必ず怒られるでしょうから、とりあえず仕事のストレスと言う、丸々肥えた身体を見れば一発でバレるであろうチープな言い訳をしましたが、やはり秒速でバレてしまいました。
先生が言いました。
「○○さん、精密検査の結果が出ました。まずは先ほども言ったように、○○さんは糖尿病です。更にあまりよろしくない報告をしなければなりません」。
私は生唾をゴクリと飲んで言いました。
「先生、はっきりとおっしゃってください」
先生はこう言いました。
「○○さんのすい臓からは、一滴のインスリンも出ていませんでした。従って、今後の治療方針として、インスリン注射による治療と、運動療法及び食事療法を受けていただきます」。
私は先生に聞きました。
「インスリン注射?すい臓からインスリンが出ていない?それってどういう事ですか?」
先生は詳しく説明してくれました。
「糖尿病の主な原因は、親族の遺伝や生活習慣、ストレスが原因とも言われています。糖尿病は一言で言えば体内にあるブドウ糖をコントロールする機能が制御不能になる病気です。厳密に言えばその人の体質と言う事になりますが。糖代謝異常症候群とも呼ばれています。人は、主に主食となる御飯やウドン、パンなどのデンプン質や砂糖などの糖分を摂取すると、胃で消化されて小腸で吸収されます。その際、デンプンや砂糖はブドウ糖に換えられて体内の栄養になるのですが、そのブドウ糖をすい臓から分泌されるインスリンと呼ばれるホルモンによって細胞に送り込まれます。○○さんの場合、そのインスリンが全く分泌されず、身体に入った糖分がそのまま体を巡り、高濃度の糖分が体を傷つけてしまう結果になるのです。放っておくと毛細血管が集中している部分に影響が出てしまいます。例えば網膜がやられると目が見えなくなりますし、腎臓がやられると一生人工透析に、手足の壊死などで切断に至る患者さんも少なくないですよ。あと脳梗塞や心筋梗塞の確率も健常者に比べれば数倍にもなってしまいます。まあ、言い事は無いですね。今日の所はこれで治療は終わります。病室に案内しますので、ゆっくりお休みください。明日からは糖尿病の専門医に変わりますので、しっかり治療してくださいね」
と、涼しい顔でさらりと怖い話をしてくれました。
看護師さんに案内され、病室のベッドに横になりました。
付き添いで来てくれた家族と分かれ、安堵と落胆が交錯する中、再び深い眠りへと落ちて行きました。
週刊少年チャンピオンばりに次回につづく!
次回予告!
多忙な?入院生活!