セミナーやり過ぎてクビになりそうになった失敗談 | 失敗から学ぶ君のブログ

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営業一筋26年。数えきれない程の失敗や挫折を繰り返し、未だに失敗をしている中年オヤジです。今では畏れ多くも管理職を拝命させて頂いておりますが、組織運営も失敗の連続!そんな私が出会った本や失敗談、不思議体験や日々の出来事や感動した事をご紹介します!

さて、セミナーと聞くと恰好いいですが、私の専門は職場におけるリスク回避術やリスクの確立を下げるという中身でした。

 

取引先である数百社の企業のオーナーさんから聞いた職場における失敗談を聴かせて頂き、そこに独自の視点を織り込み「勝手に作ったもの」でした。

まあ、そんな中身のあるような内容のお話ではありません。

タダ(無料)だし。

 

お客様にとっては「都合のいい女」的存在だったと思います。

「お前、今晩空いてる?」的な。

なぜなら、会社でやらなければならない面倒な社員教育の一環を、自社でやるのではなく、私に委託していただければ無料で1時間でも2時間でも出来るからです。

 

まあ、言い換えればちょっとした近所のおばさん達の井戸端会議に毛が生えたくらい。

「ねえねえ知ってる?言っちゃダメよ!隣の御主人、こんな失敗しちゃったんだってさあ!」

「えっ、マジでっ?!そりゃ終わったわね~!」的な雰囲気で。

 

ただし、私の仕事はあくまでセールスマン。

一つでも物を売って、利益を上げる事が至上命令です。

セミナーをやる事が本当の仕事ではありません。

 

ですが、当時の若かりし頃の私は、お客様から「先生!」なんて呼ばれて「有頂天」になっていたでしょうね。

政治家の先生が、周りからチヤホヤされて「先生!」なんて呼ばれ続けていけば、いつしか初心を忘れ、怠慢になってしまう気持ちが分かりました。

「先生!」

「ん?何だねキミ?」的な。

 

やはり私も人の子。

自信過剰な「天狗」さんになっていたんです。

そして、いつしかセミナーの雰囲気が自分にとって「居心地のいい空間」になってしまい、本来のセールスの仕事が疎かになっていったんです。

 

どうすれば物が売れるのか?

ターゲットユーザーの設定と攻略は?

マーケットの動向は?

なんて考えるより、次のセミナーの内容は何を話そうかなあ、なんて日々考えている始末でした。

 

私のセミナーの主な骨子は「リスク管理」です。

ある日、本店の部長さんから呼び出しを食らいました。

 

部長:「お前最近、お客さんの所に行って社員教育の代行やってんるんだって?」

 

私:「はい。私の任せられた地域は他社オンリーユーザー系がほとんどなので、突破口を開くためにやってます。それが何か?」

 

部長:「突破口もクソもあるかい!このエリア担当になって1年半だろう!?なんで未だに売れへんのじゃ!あんっ!?」

 

私:「す、すいません!確かに思うような数字を上げられず申し訳ありません!で、ですが、必ずこのセミナー作戦でガツンっと売りまくりますんで!ガツンと!」

 

部長:「お前さあ、浮かれてんじゃねえぞ?!聞くところによるとお客さんから先生なんて呼ばれてるらしいなあ?なんか勘違いしとるんじゃないか!?お前の仕事はセミナーを取って来るんじゃなくて、商品を売って利益を取って来る事なんやぞ!二度とセミナーなんかやるな!今度やったらクビやぞ!わかったかこの給料泥棒があっ!!」

 

私:「わ、わかりました!す、すいませんでした!」

 

平謝りでした。

しかも人生初の「給料泥棒」と言われてしまいました。

マンガやドラマでしか聞いた事の無いワードです。

「俺ってドロボー?」的な感じで。

 

そうです。

お客様にはリスク低減やリスク回避のセミナーを偉そうにやっておきながら、実際は私自身のリスク管理が出来ていなかったのです!

危うくクビになる所でした!

本末転倒ってヤツですね。

売る為のひとつの「手段」であるセミナーが、いつしかセミナーをやる為の営業になっていたのです。

 

結果的に、その部長さんと大喧嘩して会社を辞めました。

たしか部長の机を蹴ったような記憶があります。

昔の禁煙パイポのCMにあった「私はコレで会社を辞めました」ばりに。

部長は最後まで私を「給料泥棒」扱いでしたが。

 

とまあ、こんな感じで約10年近く務めた初めての職場を去る事になりました。

しかし、人生面白いもので、このセミナーがきっかけで、私を拾ってくれた企業さんがあったのです。

 

当時、私の営業担当外だったお客様でしたが、先輩の営業マンに「昼飯おごるからセミナーやってくれる?」と依頼され、セミナーを2回程やらせていただいた会社の社長さんでした。

「行くとこないならウチ来る?」

「行く行く~!」ばりに。

 

「捨てる神ありゃ拾う神あり」を生で体験した出来事でした。

 

つづく