美貌の果実 | フツーのタロット占い師のへなちょこ部屋

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ぅはイ。。。

なんかもー昼間にお外に出たらソッコー直火焼きローストポークになりそうな占い師ですこんばんは!!!←ヤケwww



今回のおススメの本は、コレ。









川原泉  美貌の果実


この川原泉さんという漫画家さん、、、ヘンな意味ではなく、大人のための物語を紡いでくれる漫画家さんだと思います。
『美貌の果実』はタイトルになってますが、このタイトル以外の読み切りも五編、入っていて、ほんともう『珠玉の名作』と言っても過言ではないと思うお話ばかりです。

ええとね、決してけなすわけでもなんでもないですが、川原さんの漫画に出てくるひとたちは(画力との絶妙なバランスもあって)大概がすっとぼけています。
すっとぼけていて、でも毎日をコツコツきちんと踏みしめて生きてて、だからものすごく大変なことが起こってもものすごく哀しいことがあっても、踏ん張ってまたにかっと笑う。
自分の痛みも、他人の痛みも疎かにしないで、真正面から受けとめようってするのです。

表題作になってる『美貌の果実』ってのは葡萄のこと。
このお話は、甲州ワインを家族でつくってる小さなワイナリーが、グルメ評論家の先生にワインを絶賛されて急に忙しくなって。
いつもの出荷量じゃダメだから、急いで追加の商品持ってくかー、ってワインを車で運搬中のおとーさんとにーちゃんが飲酒運転の車に事故られて亡くなっちゃう。
フツーだったら、ここも少しヘヴィなカンジで描くんでないの?ってとこを、川原さんはサラっと流す。嘆き悲しんで、それが終わったら力強く生きていかにゃあ!ってとこからをガツっと描きます。

葡萄の精が現れて、ワイナリーに残された母娘とフツーに家族みたいにごはん食べたり葡萄の収穫手伝ったりするし、一応設定的にはファンタジーなんだけど、これは大人のためのおとぎ話。
ふわふわきれいで甘いだけじゃない。ひとはどんなときだって踏ん張って悔いのないように生きてかなきゃいけないし、後世に伝えるものも大事に、きちんと伝わるようにしていかなきゃいけない。
当たり前のことなんだけど、それがわかってるひと、とかさ、どれくらいいるんだろ?と思います。(わたしもわかってないクチですが!←爆)


すっとぼけてる愛すべき登場人物と、ほんの一言に時々含まれている哲学的な詞。
笑いながら泣いちゃうような、どうにもこころがうるっとくる世界がこの一冊に存在してます。

ああ、ひとってうつくしいなあ、いとしいなあ、ってこころから思える。
そんな気持ちにさせてくれる、大好きな一冊です。