【ワシントン時事】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は19日、連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利を「忍耐強く」据え置いてきた姿勢を転換し、年内の利下げを視野に入れる方針を示唆した。米中貿易摩擦で景気のリスクが高まれば「成長持続へ行動する」と表明。リーマン・ショック後に実質ゼロ金利を導入した2008年12月以来となる利下げに備える。政策金利は年2.25~2.50%に据え置いた。
決定は投票権を持つ10人のうち9人が賛成したが、セントルイス連邦準備銀行のブラード総裁が0.25%の利下げを主張し反対した。18年2月にパウエル議長体制が発足して以来、初めて全会一致が崩れた。
パウエル議長は会合後の記者会見で、「景気見通しの不確実性が明らかに高まった」と指摘。会合参加者の多くが「利下げの根拠が強まったと判断している」と強調した。市場では7月末の次回会合での引き下げ決定を織り込んでいる。
FRBは声明で、景気が「緩やかに拡大」と判断し、前回5月の「底堅く拡大」から下方修正した。利上げも利下げもせず、景気を「忍耐強く」見極めるとの表現を削除。米中貿易協議をめぐるリスクや物価低迷を挙げ、金融緩和への姿勢をにじませた。
参加者による政策見通しでは、17人の中央値で「年内金利据え置き」となった。しかし、前回3月時点で0人だった「利下げ」がほぼ半数の計8人に上り、このうち7人は0.25%の引き下げ2回分を見込んだ。政策の方向性が金融緩和に傾いていることが示された。
FRBは、貿易問題をめぐる月末の米中首脳会談などを見極めるため、今会合で利下げを見送ったと説明した。だがトランプ大統領が執拗(しつよう)に利下げを迫っており、再び口先介入を強める可能性がある。
出典:時事通信
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