【日経新聞1面】昨年度企業投資、最高の52兆円に
2019/6/19 7:33 FISCO
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人手不足対応
「ため込む」から「使う」
日本の上場企業が、2018年度に設備投資やM&A(合併・買収)に約52兆円と過去最高の資金を投じたことが明らかになっている。海外企業による買収が相次いだほか、小売りなどの分野で人手不足に対応するための投資も増えたとみられる。上場企業約3600社(金融・日本郵政除く)のキャッシュフロー(CF)や資産・負債の動きを分析すると、工場や機械の取得・売却、M&Aなどの動きを映す「投資CF」の支出額は51.6兆円と前の年度比で3%増えたという。3年連続で最高となり、5年前を2割強上回る水準である。
投資CFは電機や自動車、機械など製造業で減少が目立った一方、小売りなど非製造業が伸び、特に医薬、化学、繊維、小売り、建設、サービスは過去最高となった。医薬と化学業界では、武田薬品工業<4502>はアイルランドのシャイアー、三菱ケミカルホールディングス<4188>傘下の大陽日酸<4091>は米プラクスエアの欧州事業の一部を買収した。非製造業では、省力化投資も活発だった。大成建設<1801>はロボット施工などのIT(情報技術)投資を強化し、ソフトウエアなど無形資産の保有額が5年前の2.6倍に拡大。イオン<8267>はタッチパネルで操作を簡素化したレジを導入する一方で、中国や東南アジアで商業モールを増やし、投資CFは約6600億円と前の年度の1.5倍になったという。
社数ベースでは「2社に1社」にあたる約1630社が営業CFを上回る資金を投資・株主還元に回したという。18年度は中国景気の減速などが響き、事業活動で得た現金、「営業CF」は59.5兆円と7%減少したものの、将来の成長に向けた投資を優先し、配当などの株主還元も更に増やした。
足元の株式市場では、直近の株価低迷で予想配当利回りが5%を超える銘柄も目立つようになっている。配当利回りは株価の下支え材料として期待される一方で、業績成長への期待が高まらなければ、積極的に上値を追う動きは繋がりにくかった。今回明らかになった日本企業による資金を「ため込む」から「使う」へとシフトしつつある財務戦略は、経営実態として資産効率や収益力の改善を中長期的には見極める必要はある。しかし、世界景気減速懸念などの外部環境の不透明感が増すなか、成長に向けた人的投資などの施策を行う企業に対する市場の注目度も同時に高まりやすいだろう。
「ため込む」から「使う」
日本の上場企業が、2018年度に設備投資やM&A(合併・買収)に約52兆円と過去最高の資金を投じたことが明らかになっている。海外企業による買収が相次いだほか、小売りなどの分野で人手不足に対応するための投資も増えたとみられる。上場企業約3600社(金融・日本郵政除く)のキャッシュフロー(CF)や資産・負債の動きを分析すると、工場や機械の取得・売却、M&Aなどの動きを映す「投資CF」の支出額は51.6兆円と前の年度比で3%増えたという。3年連続で最高となり、5年前を2割強上回る水準である。
投資CFは電機や自動車、機械など製造業で減少が目立った一方、小売りなど非製造業が伸び、特に医薬、化学、繊維、小売り、建設、サービスは過去最高となった。医薬と化学業界では、武田薬品工業<4502>はアイルランドのシャイアー、三菱ケミカルホールディングス<4188>傘下の大陽日酸<4091>は米プラクスエアの欧州事業の一部を買収した。非製造業では、省力化投資も活発だった。大成建設<1801>はロボット施工などのIT(情報技術)投資を強化し、ソフトウエアなど無形資産の保有額が5年前の2.6倍に拡大。イオン<8267>はタッチパネルで操作を簡素化したレジを導入する一方で、中国や東南アジアで商業モールを増やし、投資CFは約6600億円と前の年度の1.5倍になったという。
社数ベースでは「2社に1社」にあたる約1630社が営業CFを上回る資金を投資・株主還元に回したという。18年度は中国景気の減速などが響き、事業活動で得た現金、「営業CF」は59.5兆円と7%減少したものの、将来の成長に向けた投資を優先し、配当などの株主還元も更に増やした。
足元の株式市場では、直近の株価低迷で予想配当利回りが5%を超える銘柄も目立つようになっている。配当利回りは株価の下支え材料として期待される一方で、業績成長への期待が高まらなければ、積極的に上値を追う動きは繋がりにくかった。今回明らかになった日本企業による資金を「ため込む」から「使う」へとシフトしつつある財務戦略は、経営実態として資産効率や収益力の改善を中長期的には見極める必要はある。しかし、世界景気減速懸念などの外部環境の不透明感が増すなか、成長に向けた人的投資などの施策を行う企業に対する市場の注目度も同時に高まりやすいだろう。
関連銘柄 5件
・武田薬品工業(4502)東証1部
がんや中枢神経、消化器領域が主力の国内製薬トップ
がんや中枢神経、消化器領域が主力の国内製薬トップ。一般医薬品でも有名製品多数。アイルランドのシャイアーの全株式を取得し、完全子会社化。19.3期3Qはシャイアー社の統合費用や前期の株式売却益の反動が影響。 記:2019/03/15
がんや中枢神経、消化器領域が主力の国内製薬トップ
がんや中枢神経、消化器領域が主力の国内製薬トップ。一般医薬品でも有名製品多数。アイルランドのシャイアーの全株式を取得し、完全子会社化。19.3期3Qはシャイアー社の統合費用や前期の株式売却益の反動が影響。 記:2019/03/15
・三菱ケミカルホールディングス(4188)東証1部
総合化学国内最大手
総合化学国内最大手。アクリル樹脂原料世界1位、炭素繊維世界3位、エチレン生産能力国内1位。インドでエアバッグカバー材料の製造設備を新設。19.3期は増収確保。MMAや機能商品好調で、今期営業増益見通し。 記:2019/05/16
総合化学国内最大手
総合化学国内最大手。アクリル樹脂原料世界1位、炭素繊維世界3位、エチレン生産能力国内1位。インドでエアバッグカバー材料の製造設備を新設。19.3期は増収確保。MMAや機能商品好調で、今期営業増益見通し。 記:2019/05/16
・大陽日酸(4091)東証1部
産業ガスで国内トップシェア
産業ガスで国内トップシェア。三菱ケミカル系。供給一貫体制が強み。MOCVD装置、液体ヘリウム関連装置も手掛ける。19.3期は2桁営業増益。国内ガス事業は売上増。サーモス事業はスポーツボトル中心に販売堅調。 記:2019/05/28
産業ガスで国内トップシェア
産業ガスで国内トップシェア。三菱ケミカル系。供給一貫体制が強み。MOCVD装置、液体ヘリウム関連装置も手掛ける。19.3期は2桁営業増益。国内ガス事業は売上増。サーモス事業はスポーツボトル中心に販売堅調。 記:2019/05/28
・大成建設(1801)東証1部
大手ゼネコンの一角
大手ゼネコンの一角。クアラルンプール国際空港など海外実績豊富。世界最高水準の建設技術等が強み。新名神高速道路「成合第一高架橋工事」等を受注。手持ち工事は進捗順調。19.3期は増収。開発事業は売上堅調。 記:2019/05/20
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・イオン(8267)東証1部
国内流通大手。GMS(総合スーパー)、モール型SCを展開
国内流通大手。営業収益で国内小売業トップ。GMS(総合スーパー)、モール型SCを展開。ドラッグ・ファーマシー事業、総合金融事業も。SM事業は堅調。店舗活性化施策を実施。19.2期3Qは最終黒字転換。 記:2019/03/29
国内流通大手。GMS(総合スーパー)、モール型SCを展開
国内流通大手。営業収益で国内小売業トップ。GMS(総合スーパー)、モール型SCを展開。ドラッグ・ファーマシー事業、総合金融事業も。SM事業は堅調。店舗活性化施策を実施。19.2期3Qは最終黒字転換。 記:2019/03/29