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提供:モーニングスター社
平成最後の4カ月間、2019年の1~4月は26社がIPO(新規上場)した。26社中、初値が公開価格を下回ったのは1社のみで、市況は好況。何度もバブル商状を起こした平成のIPOマーケットはこれで終わり、新たな時代が始まる。すでに令和第1号のIPO案件の承認も済んでいる。
IPOマーケットの1年を区切るなら、年初からゴールデンウィーク前までが第1節。IPOは上場承認から機関投資家ヒアリング、ブックビルディングなど上場に向けたスケジュールが決まっているが、その中に大型連休やお盆休みなどが入ることを嫌う。そのためゴールデンウィークやお盆休み、年末などに1カ月程度の空白期が挟まることが通例だ。ちなみに5月~お盆休みまでが2節で、それから年末までが最終節。上場銘柄数は期末の3月と9月、年末12月に集中しやすい傾向がある。
3月期末の上場ラッシュを含む1~4月は、有望な新興市場上場案件が多く登場。POSレジアプリの開発を行うスマレジ <4431> は小売店舗のIT化、効率運営に寄与するものとして注目を集めている。今年は10月に省税率の引き上げが予定されており、添えに伴う軽減税率も導入される見込み。小売店舗の現場では対応が迫られており、クラウド型で柔軟性の高いサービスを提供するスマレジにとっては大きなビジネスチャンスとなる。IPO時の人気は高く、初値は公開価格の2.4倍に大幅上昇した。
1~4月では湯値上昇率が大きかったのは米アマゾンのAWSのインフラ構築などを手掛けるサーバーワークス <4434> と、健康・医療情報プラットフォームのWelby <4438> 。サーバーワークスはテラスカイ <3915> と資本関係があり、IPO(新規上場)マーケットで人気のクラウドコンピューティング関連として注目された。Welbyは生活習慣病などの疾患の治療分野において患者の自己管理をサポートするプラットフォームサービスを展開。上場承認時の想定発行価格3660円に対して公開価格が5200円に決まるなど、上場前から評価が高まっていた案件だった。
初値形成後の値動きで市場関係者から高く評価されたのは日本国土開発 <1887> と日本ホスピスホールディングス <7061> の2案件。日本国土開発は東証1部への再上場案件だが、市場に流通する株券が少ないために需給妙味が大きく、5月期決算で配当利回りも高い。初値は公開価格を22%上回る624円と平凡だったが、4月17日には889円まで上昇。配当権利取りの5月末に向けて再注目できそうだ。日本ホスピスは、末期がん患者と難病患者を対象に、「看取り」へ対応するターミナルケアを提供する。企業の環境対策や社会貢献を評価するESG投資の面からも注目を集めており、機関投資家などが人気を集めた。軽い案件ではなかったが、初値形成後にストップ高を交えた急上昇となり、話題を集めた。
一方、初値が公開価格を下回ったのは兵庫県で住宅建設、販売を行うKHC <1451> 1案件のみ。全般的に初値買い意欲は旺盛だったが、KHCは3社同日上場の中のひとつで初値買い資金が分散してしまったほか、初値買いの入りづらい東証2部上場案件で、高成長イメージのあるビジネスでもなかったため不人気となってしまった。株価は上場後も下値模索となっており、この株に参戦しても「儲かっている人がいない」厳しい状況にある。また、悪い方のニュースでは3月13日に上場予定だったウイングアーク1stが中止。再上場案件で利益に占めるのれん代の多さが懸念されていただけに、ブックでの不人気を受けて延期に踏み切ったとみられる。
昨年の同時期にはRPAホールディングス <6572> や初値テンバガーを記録したHEROZ <4382> などが上場しており、話題性という意味ではやや大人しかった。すでに5月30日の上場を予定するバルテス <4442> が承認を受けており、令和第1号案件として注目されることが確実だ。バルテスはソフトウェアテストなどを手掛ける企業。昨年はゴールデンウィーク明けにメルカリ <4385> 、ラクスル <4384> という、新興市場の中核を担う案件が登場した。今年も有力案件の登場が期待される。
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平成最後の4カ月間、2019年の1~4月は26社がIPO(新規上場)した。26社中、初値が公開価格を下回ったのは1社のみで、市況は好況。何度もバブル商状を起こした平成のIPOマーケットはこれで終わり、新たな時代が始まる。すでに令和第1号のIPO案件の承認も済んでいる。
IPOマーケットの1年を区切るなら、年初からゴールデンウィーク前までが第1節。IPOは上場承認から機関投資家ヒアリング、ブックビルディングなど上場に向けたスケジュールが決まっているが、その中に大型連休やお盆休みなどが入ることを嫌う。そのためゴールデンウィークやお盆休み、年末などに1カ月程度の空白期が挟まることが通例だ。ちなみに5月~お盆休みまでが2節で、それから年末までが最終節。上場銘柄数は期末の3月と9月、年末12月に集中しやすい傾向がある。
3月期末の上場ラッシュを含む1~4月は、有望な新興市場上場案件が多く登場。POSレジアプリの開発を行うスマレジ <4431> は小売店舗のIT化、効率運営に寄与するものとして注目を集めている。今年は10月に省税率の引き上げが予定されており、添えに伴う軽減税率も導入される見込み。小売店舗の現場では対応が迫られており、クラウド型で柔軟性の高いサービスを提供するスマレジにとっては大きなビジネスチャンスとなる。IPO時の人気は高く、初値は公開価格の2.4倍に大幅上昇した。
1~4月では湯値上昇率が大きかったのは米アマゾンのAWSのインフラ構築などを手掛けるサーバーワークス <4434> と、健康・医療情報プラットフォームのWelby <4438> 。サーバーワークスはテラスカイ <3915> と資本関係があり、IPO(新規上場)マーケットで人気のクラウドコンピューティング関連として注目された。Welbyは生活習慣病などの疾患の治療分野において患者の自己管理をサポートするプラットフォームサービスを展開。上場承認時の想定発行価格3660円に対して公開価格が5200円に決まるなど、上場前から評価が高まっていた案件だった。
初値形成後の値動きで市場関係者から高く評価されたのは日本国土開発 <1887> と日本ホスピスホールディングス <7061> の2案件。日本国土開発は東証1部への再上場案件だが、市場に流通する株券が少ないために需給妙味が大きく、5月期決算で配当利回りも高い。初値は公開価格を22%上回る624円と平凡だったが、4月17日には889円まで上昇。配当権利取りの5月末に向けて再注目できそうだ。日本ホスピスは、末期がん患者と難病患者を対象に、「看取り」へ対応するターミナルケアを提供する。企業の環境対策や社会貢献を評価するESG投資の面からも注目を集めており、機関投資家などが人気を集めた。軽い案件ではなかったが、初値形成後にストップ高を交えた急上昇となり、話題を集めた。
一方、初値が公開価格を下回ったのは兵庫県で住宅建設、販売を行うKHC <1451> 1案件のみ。全般的に初値買い意欲は旺盛だったが、KHCは3社同日上場の中のひとつで初値買い資金が分散してしまったほか、初値買いの入りづらい東証2部上場案件で、高成長イメージのあるビジネスでもなかったため不人気となってしまった。株価は上場後も下値模索となっており、この株に参戦しても「儲かっている人がいない」厳しい状況にある。また、悪い方のニュースでは3月13日に上場予定だったウイングアーク1stが中止。再上場案件で利益に占めるのれん代の多さが懸念されていただけに、ブックでの不人気を受けて延期に踏み切ったとみられる。
昨年の同時期にはRPAホールディングス <6572> や初値テンバガーを記録したHEROZ <4382> などが上場しており、話題性という意味ではやや大人しかった。すでに5月30日の上場を予定するバルテス <4442> が承認を受けており、令和第1号案件として注目されることが確実だ。バルテスはソフトウェアテストなどを手掛ける企業。昨年はゴールデンウィーク明けにメルカリ <4385> 、ラクスル <4384> という、新興市場の中核を担う案件が登場した。今年も有力案件の登場が期待される。