【日経新聞1面】過大な公費に頼る公立病院の経営改革は喫緊の課題
2019/4/26 8:20 FISCO
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過大な公費に頼る公立病院の経営改革は喫緊の課題
公立病院「隠れ赤字」膨らむ、公費投入除く本業、5年で5割増、縮小・集約欠かせず
地方自治体が運営する公立病院の赤字拡大が止まらない。自治体の補填を除いた本業の赤字総額は2017年度に4782億円となり、12年度比で5割増えたことが日本経済新聞の調べで分かった。最終的な損失も膨らんでおり、公的負担が急増する恐れがある。公費投入が増えると、過剰病床の縮小・集約など医療の効率化が遅れる懸念が強まる。
総務省が集計する公立病院決算に関して、日経新聞は12~17年度に比較できる671病院を対象に医業収入から自治体の補助を除いた「純医業収支」を算出。「隠れた赤字」が膨らんでいて、純医業収支が黒字の病院数は5年で45から19に減り、合計赤字額は5割増、公費投入は5%増に留まり15年度以降は借入金に頼っている。厚生労働省の調べでも、17年度の一般病院の経常利益率は民間2.3%、公立はマイナス1.5%だった。
公立病院は都道府県や市町村が作り、民間病院が手がけたがらない救急や小児など不採算医療を提供したり、過疎地の医療水準を維持したりする役割がある。公費投入に意義はあるが、赤字を公費で埋め続けると自治体財政は悪化し、保育や介護などの公的サービスにしわ寄せがいき、非効率な医療で入院や治療を増やすムダな医療費が膨らむ恐れがある。
過大な公費は首都圏で目立つ。公費投入額は、東京都が首位で1病床あたりが17年度617万円と全国平均の約2倍、都立8病院だけで総額400億円に達する。総務省は07年に公立病院改革の指針を作り施設・診療機能の再編を促したが、60を超す再編例の大半は公立間で、民間を交えた医療体制の見直しが不可欠。神奈川県は知事が「県立は小児科などに特化すべきだ」と判断、従来の医療を続ける条件で公募し16年度に総合病院の汐見台病院(横浜市)を医療法人に譲渡、毎年7億円超あった公費繰入額をゼロにした。医療情報分析のケアレビューの加藤良平代表は「都市部は民間との役割分担を徹底し、規模を縮小すれば公費依存の問題は改善する」と指摘する。
公立病院の経営改革による公費投入の削減は喫緊の課題である。医療の確保は重要だが、もっと民間の力を活用して効率的な病院経営に改革することが不可欠で、その余地は充分に大きい。その方向が強まれば、病院経営に関連する企業への業績寄与も期待される。
公立病院「隠れ赤字」膨らむ、公費投入除く本業、5年で5割増、縮小・集約欠かせず
地方自治体が運営する公立病院の赤字拡大が止まらない。自治体の補填を除いた本業の赤字総額は2017年度に4782億円となり、12年度比で5割増えたことが日本経済新聞の調べで分かった。最終的な損失も膨らんでおり、公的負担が急増する恐れがある。公費投入が増えると、過剰病床の縮小・集約など医療の効率化が遅れる懸念が強まる。
総務省が集計する公立病院決算に関して、日経新聞は12~17年度に比較できる671病院を対象に医業収入から自治体の補助を除いた「純医業収支」を算出。「隠れた赤字」が膨らんでいて、純医業収支が黒字の病院数は5年で45から19に減り、合計赤字額は5割増、公費投入は5%増に留まり15年度以降は借入金に頼っている。厚生労働省の調べでも、17年度の一般病院の経常利益率は民間2.3%、公立はマイナス1.5%だった。
公立病院は都道府県や市町村が作り、民間病院が手がけたがらない救急や小児など不採算医療を提供したり、過疎地の医療水準を維持したりする役割がある。公費投入に意義はあるが、赤字を公費で埋め続けると自治体財政は悪化し、保育や介護などの公的サービスにしわ寄せがいき、非効率な医療で入院や治療を増やすムダな医療費が膨らむ恐れがある。
過大な公費は首都圏で目立つ。公費投入額は、東京都が首位で1病床あたりが17年度617万円と全国平均の約2倍、都立8病院だけで総額400億円に達する。総務省は07年に公立病院改革の指針を作り施設・診療機能の再編を促したが、60を超す再編例の大半は公立間で、民間を交えた医療体制の見直しが不可欠。神奈川県は知事が「県立は小児科などに特化すべきだ」と判断、従来の医療を続ける条件で公募し16年度に総合病院の汐見台病院(横浜市)を医療法人に譲渡、毎年7億円超あった公費繰入額をゼロにした。医療情報分析のケアレビューの加藤良平代表は「都市部は民間との役割分担を徹底し、規模を縮小すれば公費依存の問題は改善する」と指摘する。
公立病院の経営改革による公費投入の削減は喫緊の課題である。医療の確保は重要だが、もっと民間の力を活用して効率的な病院経営に改革することが不可欠で、その余地は充分に大きい。その方向が強まれば、病院経営に関連する企業への業績寄与も期待される。
関連銘柄 4件
・メディカル・データ・ビジョン(3902)東証1部
病院経営を支援、医療機関や健康保険組合に経営支援システムを提供
病院等の経営支援システムと、製薬会社や研究機関向けデータ活用サービスが事業の柱。健診・検診領域の事業を開始。OTC医薬品・H&BC製品の製造販売から撤退。18.12期3Q累計は二桁の増収も、販管費が増加。 記:2019/01/29
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・エムスリー(2413)東証1部
日本最大の医療従事者専門サイト、医師の約9割が会員登録
ITとヘルスケアの融合企業。医療従事者向け医療ポータルサイト「m3.com」を運営。国内では9割以上の医師が登録。フォーブス誌による「最も革新的な成長企業ランキング」で世界5位。19.3期3Qは営業増益。 記:2019/04/11
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・メディアスホールディングス(3154)東証1部
医療機器・用具の卸大手、先端医療機器から消耗品まで幅広く扱う
医療機器の販売や修理、アフターサービスに加え、介護福祉機器の販売、レンタルを展開。昨年7月にミタスやディーセンス等の3社と経営統合。19.6期上期は経営統合が寄与も、のれん償却や統合作業費用等が重し。 記:2019/02/09
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・ケアネット(2150)マザーズ
製薬会社の営業支援、医師・医療従事者に役立つ厳選情報を提供
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