【日経新聞1面】JDIが台中連合の傘下入り、「日の丸液晶」は頓挫
2019/4/4 8:20 FISCO
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JDIが台中連合の傘下入り、「日の丸液晶」は頓挫
JDI、台中勢傘下に、「日の丸液晶」が頓挫、米規制で不透明感も
経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)<6740>は3日、台湾の電子部品メーカーなどで構成する台中連合3社から最大800億円の金融支援を受け入れることで大筋合意。外資が議決権の5割弱を握り、日本の官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)は筆頭株主ではなくなる。台中連合の傘下入りでJDIの再建は前進するが、日本の大手電機の事業を統合して誕生した「日の丸液晶連合」は頓挫することになる。
JDIはスマホ向け中小型液晶パネルで世界大手、経産省主導で2012年に日立<6501>、東芝<6502>、ソニー<6758>の事業を統合して発足。当時の産業革新機構が2000億円を出資し生産体制を整えて日本の液晶産業の復活を目指したが、アジア勢との投資競争に敗れ、次世代有機ELへのシフトも遅れた。16年3月期に約1兆円だった売上高は直近で3分の2に減り赤字が続く。米アップルからの借入返済も重荷で厳しい資金繰りが続いていた。
JDIは3日、台湾電子部品の宸鴻光電科技や台湾金融の富邦グループ、中国ファンドの嘉実基金管理グループで構成する台中連合と来週前半をメドに契約を結ぶ見通しを発表。台中連合はJDIに400億円を出資するなどで筆頭株主になり、INCJの議決権比率25.3%は半分に下がる。「液晶は汎用化で競争力を失い、技術の優位性で勝負できる産業ではなくなった」と経産省幹部は発言。今回の支援はJDI向け債権の株式化などに留め、台中勢の出資と合わせたJDIの資本増強額は1100億円超となる。
日本の液晶産業は1970年代からシャープ<6753>などが電卓向けなどで量産に成功、家電で幅広く使われ、90年代後半まで日本勢が世界シェアの大半を占めた。しかし、2000年代に入るとアジア勢の大規模投資に追い付けず競争力が低下、16年にはシャープが台湾の鴻海精密工業の傘下に入り、今回はJDIが台中連合に入ることになり、残るのは京セラ<6971>やパナソニック<6752>など生産規模の小さい企業だけとなり日本の液晶産業の退潮は鮮明。JDI側は審査対象にならないとみているが、今後は対米外国投資委員会(CFIUS)が中国企業によるJDIへの出資をどう評価するかが焦点になる。
半導体、液晶とかつて日本が世界を制した産業がアジア勢との投資競争に敗れ、撤退を余儀なくされてきた。ただ、半導体、液晶とも投資負担が重い上にコモデティ化が著しいことが背景であり、それに代わる次世代新技術で世界の覇権を狙う基盤を確立できるかが今後の焦点となる。
JDI、台中勢傘下に、「日の丸液晶」が頓挫、米規制で不透明感も
経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)<6740>は3日、台湾の電子部品メーカーなどで構成する台中連合3社から最大800億円の金融支援を受け入れることで大筋合意。外資が議決権の5割弱を握り、日本の官民ファンドのINCJ(旧産業革新機構)は筆頭株主ではなくなる。台中連合の傘下入りでJDIの再建は前進するが、日本の大手電機の事業を統合して誕生した「日の丸液晶連合」は頓挫することになる。
JDIはスマホ向け中小型液晶パネルで世界大手、経産省主導で2012年に日立<6501>、東芝<6502>、ソニー<6758>の事業を統合して発足。当時の産業革新機構が2000億円を出資し生産体制を整えて日本の液晶産業の復活を目指したが、アジア勢との投資競争に敗れ、次世代有機ELへのシフトも遅れた。16年3月期に約1兆円だった売上高は直近で3分の2に減り赤字が続く。米アップルからの借入返済も重荷で厳しい資金繰りが続いていた。
JDIは3日、台湾電子部品の宸鴻光電科技や台湾金融の富邦グループ、中国ファンドの嘉実基金管理グループで構成する台中連合と来週前半をメドに契約を結ぶ見通しを発表。台中連合はJDIに400億円を出資するなどで筆頭株主になり、INCJの議決権比率25.3%は半分に下がる。「液晶は汎用化で競争力を失い、技術の優位性で勝負できる産業ではなくなった」と経産省幹部は発言。今回の支援はJDI向け債権の株式化などに留め、台中勢の出資と合わせたJDIの資本増強額は1100億円超となる。
日本の液晶産業は1970年代からシャープ<6753>などが電卓向けなどで量産に成功、家電で幅広く使われ、90年代後半まで日本勢が世界シェアの大半を占めた。しかし、2000年代に入るとアジア勢の大規模投資に追い付けず競争力が低下、16年にはシャープが台湾の鴻海精密工業の傘下に入り、今回はJDIが台中連合に入ることになり、残るのは京セラ<6971>やパナソニック<6752>など生産規模の小さい企業だけとなり日本の液晶産業の退潮は鮮明。JDI側は審査対象にならないとみているが、今後は対米外国投資委員会(CFIUS)が中国企業によるJDIへの出資をどう評価するかが焦点になる。
半導体、液晶とかつて日本が世界を制した産業がアジア勢との投資競争に敗れ、撤退を余儀なくされてきた。ただ、半導体、液晶とも投資負担が重い上にコモデティ化が著しいことが背景であり、それに代わる次世代新技術で世界の覇権を狙う基盤を確立できるかが今後の焦点となる。
関連銘柄 4件
・ジャパンディスプレイ(6740)東証1部
中小型液晶パネル大手、INCJ(旧産業革新機構)が25.29%出資
スマホ等向けの中小型ディスプレイを製造、販売するディスプレイメーカー。ソニーや日立、東芝の事業統合により発足。車載用や医療用にも注力。19.3期3Q累計はモバイル分野が足踏みも、構造改革が奏功し損失縮小。 記:2019/03/22
中小型液晶パネル大手、INCJ(旧産業革新機構)が25.29%出資
スマホ等向けの中小型ディスプレイを製造、販売するディスプレイメーカー。ソニーや日立、東芝の事業統合により発足。車載用や医療用にも注力。19.3期3Q累計はモバイル分野が足踏みも、構造改革が奏功し損失縮小。 記:2019/03/22
・シャープ(6753)東証1部
液晶パネル中心の総合家電大手、台湾・鴻海グループ傘下で再建中
大手総合家電メーカー。液晶パネルや白物家電、スマートフォン等を手掛ける。台湾・鴻海精密工業傘下。自己資本比率は改善。スマートホーム部門は堅調。負ののれん発生益の増加等により、19.3期3Qは2桁最終増益。 記:2019/01/30
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・ソニー(6758)東証1部
電機を中心に多角展開、液晶事業をJディスプレに統合・1.26%出資
世界的な電機メーカー。モバイル機器やゲーム機器、デジタルカメラ、業務用放送機器、家電、半導体分野等で事業展開。金融サービス等も。ゲームソフトウェアは堅調。ヘッドホン売上は好調。19.3期2Qは2桁増益。 記:2019/01/21
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・ニコン(7731)東証1部
露光装置とデジカメが収益柱、液晶パネル製造用露光装置は世界トップ級
光学機器メーカー。デジカメと、FPD露光装置や半導体露光装置を手掛ける。半導体製造装置のステッパーとデジタル一眼レフカメラは世界トップ。医療関連に注力。19.3期3Q累計は精機が低調なデジカメをカバー。 記:2019/03/24
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光学機器メーカー。デジカメと、FPD露光装置や半導体露光装置を手掛ける。半導体製造装置のステッパーとデジタル一眼レフカメラは世界トップ。医療関連に注力。19.3期3Q累計は精機が低調なデジカメをカバー。 記:2019/03/24