・東芝(6502)が四日市に半導体の新工場建設へ、重すぎるNANDへの投資(上・下)
東芝は三重県・四日市市に半導体・NAND型フラッシュメモリの工場を新設する方針を固めた。現在の四日市工場に隣接する土地の取得に向け手続きを進めている。投資規模4000億~5000億円になる見通しだ。
投資は既存の四日市工場と同様に半導体大手の米サンディスクと折半して行うとみられ、東芝自体の負担は2000億~2500億円に抑えられるとみられる。それでもこの負担はきつい。
東芝は一連の不適切会計問題で収益が悪化、2015年12月には白モノ家電やPC、テレビなどで1万0500人のリストラ策を発表したばかりだった。リストラ費用の計上で、自己資本は2016年3月期末には4300億円程度まで低下し自己資本比率は10%を割る見通し。
自己資金での半導体への大規模な投資は資金が足りずほぼ不可能だ。「特設注意市場銘柄」に指定されているため、市場からの公募増資も厳しい。借り入れでの資金調達が有力だが、さらに自己資本比率を悪化させることになる。
にもかかわらず、なぜ、投資を敢行するのか。新工場では、データセンターやスマートフォンなどに使用される3次元構造のNAND型フラッシュメモリ(フラッシュメモリ)を製造する。
フラッシュメモリはここ数年、東芝の利益の大半を稼ぎ出している屋台骨だ。世界シェアは韓国のサムスン電子に続いて2位(iHSテクノロジー調べ)と競争力もある。
足下の業績は、家電関連や電力・社会インフラで赤字を計上。安定的に利益を出していた医療機器のヘルスケア事業は、キャッシュ創出のためにやむなく売却することが決まっている。フラッシュメモリは今後もデータセンター向けになどに需要が拡大するとみられており、着実な収益を生み出せる唯一の頼みの綱なのだ。
東芝は今後、半導体と原子力を主とする電力を2本の柱に据えるとしている。半導体は毎年一定の投資が必要な金食い虫。四日市の新工場建設後も毎年、継続的な設備投資が必要になってくる。また、四日市工場は既に5つの半導体の製造棟がありそこへの投資も手を緩められない状況だ。
電力関連も先行投資が大きく、キャッシュが入ってくるのは数年先となる事業だ。柱となる2つがいずれも資金を先食いするバランスの悪い事業構造で、これが資金繰りをさらに悪化させる。
みずほ証券の松本英樹クレジットアナリストは、「フラッシュメモリは外部資本、新たなパートナーとの運営など、自分達の負担を軽くするのも一つの考え方だ」と話す。東芝の室町正志社長も半導体事業を分社化し、上場させることについて否定はしていない。いずれにしても現状では継続的な投資をすることは難しく、新規上場することや、コアでない事業の売却をもっと積極的に行うことも、しなければならないだろう。
また、半導体市況もいつまでも現状のままではない。元々浮き沈みの激しい業界だが、フラッシュメモリについては、これまでは3社がほぼ独占している安定的な市場だった。だが、技術力を上げてきた中国メーカーが少しずつ参入して、競争も激化しており、足元では売価も徐々に下がってきている。
半導体で技術的な優位を維持するには、安定的な資金調達を可能にするような、事業体の見直しも迫られていることは確かだろう。東芝の構造改革に残されている時間は少ない。
(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 1株益¥ 1株配¥
◎本2015.03 6,655,894 170,439 136,644 -37,825 -8.9 4
◎本2016.03予 6,200,000 -340,000 -300,000 -550,000 -129.9 0
◎本2017.03予 6,300,000 90,000 70,000 30,000 7.1 0-4
◎中2015.09 2,972,722 -90,492 38,302 37,293 8.8 0
◎中2016.09予 3,000,000 20,000 10,000 500 0.1 0
東芝は三重県・四日市市に半導体・NAND型フラッシュメモリの工場を新設する方針を固めた。現在の四日市工場に隣接する土地の取得に向け手続きを進めている。投資規模4000億~5000億円になる見通しだ。
投資は既存の四日市工場と同様に半導体大手の米サンディスクと折半して行うとみられ、東芝自体の負担は2000億~2500億円に抑えられるとみられる。それでもこの負担はきつい。
東芝は一連の不適切会計問題で収益が悪化、2015年12月には白モノ家電やPC、テレビなどで1万0500人のリストラ策を発表したばかりだった。リストラ費用の計上で、自己資本は2016年3月期末には4300億円程度まで低下し自己資本比率は10%を割る見通し。
自己資金での半導体への大規模な投資は資金が足りずほぼ不可能だ。「特設注意市場銘柄」に指定されているため、市場からの公募増資も厳しい。借り入れでの資金調達が有力だが、さらに自己資本比率を悪化させることになる。
にもかかわらず、なぜ、投資を敢行するのか。新工場では、データセンターやスマートフォンなどに使用される3次元構造のNAND型フラッシュメモリ(フラッシュメモリ)を製造する。
フラッシュメモリはここ数年、東芝の利益の大半を稼ぎ出している屋台骨だ。世界シェアは韓国のサムスン電子に続いて2位(iHSテクノロジー調べ)と競争力もある。
足下の業績は、家電関連や電力・社会インフラで赤字を計上。安定的に利益を出していた医療機器のヘルスケア事業は、キャッシュ創出のためにやむなく売却することが決まっている。フラッシュメモリは今後もデータセンター向けになどに需要が拡大するとみられており、着実な収益を生み出せる唯一の頼みの綱なのだ。
東芝は今後、半導体と原子力を主とする電力を2本の柱に据えるとしている。半導体は毎年一定の投資が必要な金食い虫。四日市の新工場建設後も毎年、継続的な設備投資が必要になってくる。また、四日市工場は既に5つの半導体の製造棟がありそこへの投資も手を緩められない状況だ。
電力関連も先行投資が大きく、キャッシュが入ってくるのは数年先となる事業だ。柱となる2つがいずれも資金を先食いするバランスの悪い事業構造で、これが資金繰りをさらに悪化させる。
みずほ証券の松本英樹クレジットアナリストは、「フラッシュメモリは外部資本、新たなパートナーとの運営など、自分達の負担を軽くするのも一つの考え方だ」と話す。東芝の室町正志社長も半導体事業を分社化し、上場させることについて否定はしていない。いずれにしても現状では継続的な投資をすることは難しく、新規上場することや、コアでない事業の売却をもっと積極的に行うことも、しなければならないだろう。
また、半導体市況もいつまでも現状のままではない。元々浮き沈みの激しい業界だが、フラッシュメモリについては、これまでは3社がほぼ独占している安定的な市場だった。だが、技術力を上げてきた中国メーカーが少しずつ参入して、競争も激化しており、足元では売価も徐々に下がってきている。
半導体で技術的な優位を維持するには、安定的な資金調達を可能にするような、事業体の見直しも迫られていることは確かだろう。東芝の構造改革に残されている時間は少ない。
(百万円) 売上高 営業利益 経常利益 純利益 1株益¥ 1株配¥
◎本2015.03 6,655,894 170,439 136,644 -37,825 -8.9 4
◎本2016.03予 6,200,000 -340,000 -300,000 -550,000 -129.9 0
◎本2017.03予 6,300,000 90,000 70,000 30,000 7.1 0-4
◎中2015.09 2,972,722 -90,492 38,302 37,293 8.8 0
◎中2016.09予 3,000,000 20,000 10,000 500 0.1 0
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