丸の内に誕生 五輪インフラの目玉「新東京駅」はどこに建つ? 仲通り地下が有力/(C)日刊ゲンダイ 丸の内に「新駅」が誕生するかもしれない。 五輪がらみのインフラ整備で注目のビッグプロジェクトのひとつが「都心直結線」と呼ばれる鉄道構 想だ。首都圏の2つの国際空港と都心を高速で結ぶもので、成田―新東京が36分、羽田―新東京は 18分に短縮される。両空港から途中までは既存の成田スカイアクセス線と京急線を利用し、押上― 泉岳寺間に現在の都営浅草線とは別のバイパス地下鉄11キロを新設すると想定されている。 気になる「新東京駅」の場所は、丸の内エリアでほぼ決まっていて、ブランドショップが並ぶ「 丸の内仲通り」と皇居と赤レンガの東京駅舎をつなぐ「行幸通り」が交差する辺りが有力。現在、地 下通路や駐車場になっているが、新駅はその地下40メートルの大深度に造られる。 「都心部へのグローバル企業誘致をめざし、空港アクセスをよくするのが目的です。かなりの事業 費がかかりますから、それに見合う需要があるのか、2010年度から調査費をつけて検討している ところです」(国交省都市鉄道政策課) 事業費は4000億円以上とされ、国交省は来年度予算で調査費3億円を要求している。採算性では 、過去に年間8000万人という壮大な需要想定が出ているものの、「すでにJRの成田エクスプレ スがあるし、都営浅草線とは乗客の奪い合いになる。本当に必要なのか」(東京都関係者)と疑問も 。“五輪便乗開発”のにおいがプンプンなのだが、前出の都市鉄道政策課は「建設には手続きを含め ると10年以上かかります。五輪に間に合わせるのはどうやっても無理です」と首を振るのだった。 もっとも、五輪後の完成だとしても、事業計画が五輪前に決まれば、丸の内エリアが盛り上がる のは間違いない。三菱地所が「大地主」の丸の内は、ただでさえ“常時”再開発中。毎年のように老 朽ビルの建て替えが進み、今後は2016年にかけて大手町側で6棟のビルが竣工予定だ。そのうち 3棟にはホテルやサービスアパートメントなどの宿泊施設があり、訪日外国人の利用も想定されてい る。都心直結線は好都合だ。 「大手町・丸の内・有楽町地区まちづくり協議会」は大手企業中心に89団体が会員。都心直結線は 民間資本を導入するPFI方式での建設も検討されているから、丸の内企業がその気になれば実現可 能なんて見方もある。 「丸の内の昼間人口は40万人。地方の中核都市ほどの規模があります。また、まちづくり協議会 には有名企業が揃っていて、資金もある。開発への反対運動も起きず、ビジネスライクですから、日 本で一番開発しやすい地域なのです」(みずほ証券チーフ不動産アナリスト・石澤卓志氏) 税金を使わず、大企業の内部留保で造ってくれるなら歓迎だけど……。