携帯には、「お寺」と表示されている。
ワタシは携帯に出た。
「はい、○○です。」
「お墓にお骨が入っていないんですよ。」
「え?
先日戒名を入れるために墓石を移動したって聞いているんですが、そのせいですかね?」
「業者が何も入っていないって言ってまして。」
「…
あの、秋田のお寺ですか?」
「そうです、○○寺です。」
「ああー。
すみません、主人のほうのお寺と間違っておりまして。
父は海難で亡くなってますので、遺体がないんです。
お骨は最初からないです。」
「そうでしたか。」
「よろしくおねがいします。」
「ではどうも。」
電話を切って、
父の、
あの、
海の見える、
景色の良い、
草が生えないようにしてある、
母が自分が入るつもりで作った、
土台も石で出来たあの墓も、
いよいよ取り壊されているのだと思った。
(去年の初夏に墓じまい、永代供養のお金振り込んだわい。
母は教会の共同墓地に眠っているのさ。)
少しだけ、
悲しくなった。
もったいないわぁ。
違う違うw
思い出も綺麗さっぱり捨てなければならないことは悲しいわい。
いいさ。
墓まで断捨離、
墓までミニマリストだい。
強がってはみるが、
これを書いていたら、泣けてきた。
いやいや、
おばちゃんが泣いたところで、
可愛くないわい。
今日もタバコ吸って、
フテブテしく過ごそう。