耳鼻科に通ったが、これといって改善はしない。
結局補聴器を買った。
感音性難聴の、軽度難聴だ。
ヒソヒソ声は、ちょっと離れると何を言っているかわからない。
一対一で話すのはいいのだが、ガサガサしたところだと、聞きとりにくくなる。
テレビは、「さんま御殿」みたいな番組は苦手。
大勢がワイワイ喋っている番組は、発言の内容がよくわからなかったりする。
でもテレビの音は、補聴器はよく拾うので、補聴器を着けさえすれば、困らない。
家族は理解してくれているし、自分からテレビに近づくか、ボリュームを上げればいいだけだからだ。
そんなにテレビを見たいとも思わないし。
今の職場は、広いフロアで、
50畳はあるかな、
なんとなく楕円に集まって朝礼があるが、楕円の端っこにいると、何を言っているかわからない。
補聴器を着けていても。
昼休みの休憩所で、30人くらいでワイワイ雑談しながらご飯を食べる。
補聴器は、離れている人の大きな笑い声をことさら拾い、
隣に座っている人の小さな声は、大きな笑い声にかき消されて、
かえって聞こえにくくなり、
雑談もしにくくなる。
え?
え?
と何度も聞きかえすのも気が引けるからだ。
耳の遠い人はめんどくさい。
ワタシ自身がそう思ってしまう。
で結局、テキトーにあいづちを打ち、にっこり笑うだけになる。
補聴器をつけたからといって、バラ色の世界ではない。
人の声より、機械の音などをよく拾うからだ。
小さな声を聞き取ろうとして集音のボリュームを上げると、アイロンのスチームの音などがシューシューとやかましくなる。
買うときに、聞きとりやすいように補聴器の調整はしてもらったのだけれど、それでも、普通の耳のようにはいかない。
話している人に近づけばよいのだが、
人にはパーソナルスペースというものがあり、
やたらと近寄ってくる人はキショク悪いw
コミュニケーション。
人は、たいてい言葉を使って仕事をする。
今ワタシは新しい職場で、新しい人間関係で、少しだけ不便に働いている。
耳が悪いことを、どうやってカミングアウトしようかと考える。
なんとなく言いにくい。
恥ずかしいのもあるが、
「ワタシはこんな病気なんだから、そっちがワタシをいたわれ」
と要求しているような感じもある気がして。
人はみんな意地悪なもの、
という前提が、
ワタシの中にあるのだろうなぁ。
そんなことないんだけれど。
自分から見て、
変わった人、ヘンなヤツ、を、
バカにしたり笑ったり。
ワタシもよくやるけれど、
もしかしてそこには、
ワタシが耳が悪いような、
何か理由があるのかもしれない。
優しい人、許せる人になりたいものだよ。
チキショウ補聴器。
両耳で18万もするくせに。
ちっ。
いっそのこと、
なんでもかんでも、
「あんだってぇ?」と、
昔、志村けんがやっていたババアのように、
聞き返してしまおうかと思ったりもしている。