お義姉さんより早くお義母さま宅に着いたアタシは、お義母さまとおしゃべりをした。
話してわかったが、お義母さまの今までの行動は変だった。
犬と一緒に、犬のトイレにしている、リビングに面したコンクリートのタタキに、夜中におしっこをしている。
トイレに行くのが面倒みたいだ。
トイレに間に合わず、失禁してしまって、パンツが足りなくなり、買ってきてもらいたかった様子も、洗濯機を覗いてわかった。
銀行に行っても、字が書けず、職員の人に書いてもらっていたのか。
目が悪いだけではないな、これは。
アタシはその時はじめて、今から年金を下ろしてきてあげる、とお義母さまに申し出た。
そうこうしているうちに、お義姉さんがお義母さま宅に着いた。
お義姉さんを見るなり、お義母さまは、
「あんた誰!?」
と言った。
衝撃の発言。
お義姉さんはムッとしていたと思う。
お義姉さんは、青汁の粉末と、10万円をお義母さまに渡していた。
アタシは心の中で、今はどちらも役に立たないよ、と思った。
アタシはお義姉さんにお義母さまを託し、お金を下ろしてくる、と言って、自転車で市役所へ向かった。
市役所へ行けば、地域包括支援センターのことを教えてもらえるだろう、と。
地理に詳しくないアタシは、道を間違えたが、目の前に、
「高齢者の相談」とガラス窓に文字のある建物が!
地域包括支援センターであった。
アタシは応対してくれた女性に、震えながら、お義母さまの様子を話した。
女性はテキパキと書類を書き、一時間後に、介護認定の調査に、お義母さま宅に伺います、と言って下さった。
預かった通帳と印鑑で、銀行でお金を下ろし、アタシはお義母さま宅へ戻った。
先ほどお話した女性がお義母さま宅へやって来た。
お義姉さん、アタシが見守る中、この地域包括支援センターのケアマネの女性が、お義母さまにいろいろ質問していた。
お義母さまは、よその人の前では、わりとしっかりと話すのだと感じた。
女性は、医師の意見書も必要なので、早いうちに診察してもらって下さいね、と言って帰って行った。
アタシはお義姉さんがお義母さまに渡していた10万円を、お義母さまに気づかれないように、お義姉さんに返した。
お義姉さんも経済的に苦しいのを聞いていたし。
お義母さまの様子は気になったが、お義姉さんと2人、一緒に帰った。
帰りの電車の中で、お義姉さんの生い立ちを聞きながら。
(お義父さんに、最後までじゃないけどイタズラされた、のくだりで、アタシは泣いたよ。)
2日後のアタシの仕事の合間に、アタシはお義母さまを診察に連れて行くことにした。