ハ行(はひふへほ)の音声に飛翔感があることは、堀辰雄の小説のところでも書きました。

 

 

カ行とは対照的に、言葉が残留しない、青い空の白い雲のように束縛のない自由を感じるハ行の飛翔感。

 

はばたく、はぎれ雲、広がる、ひこうき雲、普遍、平常、ほとばしる・・・

 

堀辰雄の読後感にもある、言葉が残留しない音楽のような文章、軽やかに無限の空に溶けていく、あの文体にもハ行の効果があると思われます。

 

また、タ行(「たらちねの母」など)が大地にしっかり根差した安定感・民俗感・生活感・断定性を感じさせることとも対照的です。

 

このたび母を亡くして、「晴れやかに泣きました」と心情をお伝えした時、ハ行の「晴れやかに」とつけたことで、心の解放感も伝わればと思いました。