「僕の宝物』☆~先輩からの一通の手紙 | 及川心太オフィシャルブログ

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歌手・ミュージカル俳優のオフィシャルブログです。

1月最後の配信はいつもと
はちょっと違った感じで!


これは僕の友達の体験談を
もとに書いてみました!!


同性愛者に偏見のある方は
読まないで下さい(^・ω・^)


‥☆……………………☆‥


「先輩、久しぶりっすね」


「そうだな」


「これ、先輩からもらった手紙っす」


「こんなところで読むなよ」


「それにしても、字が下手くそっすよ」


「味があると言ってくれ」







3月


先輩から告白された


大好きな先輩からのまさかの告白


僕は幸せだった


やっと春がやって来たんだ







5月


気候もよく、先輩と出掛けることが多くなった


「コホッ、コホッ」


「先輩、風邪引いたんですか?病院行った方がいいんじゃないですか?」


「そうだよな。最近、体がしんどいし…月曜日に行ってみるよ」


「そうっすよ、早い方がいいっすよ」






先輩からメ‐ルが入った


『今日、病院に行ってきた。いや‐大変だったよ。血液検査で血を採られたし、肺のレントゲンも撮った。やっぱ病院は行くもんぢゃないね。結果は1週間後だって』


『苦しそうなメ‐ルぢゃなくて良かったっす。死んぢゃうんぢゃないかと思いました(笑)』


『バカ!俺は死なねぇよ(笑)』


『一緒に長生きしよ(笑)』






1週間後


検査結果が出た


「総合病院に行けって。何か紹介状書いてもらっちゃった」


「えっ?それって悪いんぢゃないっすか?」


「念のためだってさ」


僕の脳裏に不安が走った







数日後、先輩が県立がんセンタ‐に入院した


僕は信じられないし、信じたくない


しかし、現実から逃れられない


先輩のがんは浸潤ではなく、転移しているらしい


僕にできることは見舞いに行って、先輩を励ますことしかない


一日一日、弱っていく先輩を見ると辛い


しかし、それ以上に先輩は辛いんだと思う


気丈に振る舞う先輩を見て涙が止まらない


「何、泣いてんだよ」


げっそり痩せ細り、声に力がない


震える手を伸ばし、僕の頭を撫でた


「後を追うなよ」


先輩がいない世界は、僕には要らなかった


そんな僕を先輩は見透かしていた


「先輩…」


「絶対駄目だ…俺の分も生きろ…」


僕の手を強く握ってきた


「先輩…」







8月


夏休みが終わるころ、先輩は亡くなった


涙が止めどなく溢れる


先輩のお母さんから一通の手紙を受け取った


先輩からの手紙


しばらく経ってから読んだ






あれから1年以上経つ


いま先輩のお墓の前にいる


赤い彼岸花とピンクのコスモスが風に揺れている







「先輩、久しぶりっすね」


『そうだな』


「これ、先輩からもらった手紙っす」


『こんなところで読むなよ』


「それにしても、字が下手くそっすよ」


『味があると言ってくれ』



何度も読み返して、ボロボロになりかけている手紙





『泣くな!笑え!生きろ!』



先輩からの言葉


僕の宝物