青山繁晴氏の処遇から読む、高市人事の「もう一つの狙い」

 

高市首相の9月の内閣改造・党役員人事は、読売新聞などが「ライバル封じ」と読んだ。前回総裁選で争った小泉氏、茂木氏、小林氏は要職に留め、林氏だけが閣外に出た。来年の総裁選での再選に向けた布陣だという見立てである。

 

だが、私が引っかかるのは林氏ではない。青山繁晴氏の処遇である。

 

青山氏は党員獲得数で長年トップを争ってきた、党員票に強い議員だ。2024年の総裁選では推薦人20人を集められず、出馬できなかった。今回は参院から衆院に移り、条件が変わった。前回の総裁選では高市氏支持に回り、高市氏自身が議員会館の事務所を訪ねている。

 

その青山氏は、環境副大臣として辻清人氏と並んで務めた後、主要な役を得ていない。拉致問題など従来からの役は続けているが、メジャーな役ではない。青山氏は自身の動画で、人事アンケートを出したこと、無役を望んでいないことを語っている。同じ副大臣だった辻氏は、臨時国会の初日に衆院安全保障委員長に就いた。

 

役職の枠が足りなかったという説明は、私には不自然に思える。政府の役がなくても、党や国会には相応の役がある。それでも主要な役は回ってこなかった。

 

最初に私が考えたのは、高市氏が青山氏を封じ込めようとしているという読みだった。役を与えず、露出を抑え、出馬を難しくする。だが、これでは前回の総裁選で高市氏が自ら青山氏を訪ねたことと噛み合わない。

 

そこで見方を変えてみた。高市氏は青山氏にもっと活躍してほしい。だが、党内調整がうまくいかない。麻生氏ら党内の力学が絡めば、青山氏を要職に据えることは簡単ではない。それなら、中途半端な役を捻じ込んでも、かえって将来の本格的な起用、つまり大臣への道を狭めてしまう。

 

ここで効いてくるのが、総裁選である。前回の総裁選で争った4氏は、いずれも選挙後に閣内や党の要職に就いている。総裁選に出た者が処遇されるのは、挙党体制の名のもとで党内も納得しやすい筋道だ。青山氏が来年の総裁選に確実に出馬すれば、その後に閣内の重要ポストへすんなり据えることができる。

 

しかも、青山氏が総裁に選ばれることはない。本人もそれはわかっていると私は思う。青山氏は、自民党を内側から根本的に変える「最終兵器」だった。本人も、安倍元首相も、そう語っていた。総裁になることが目的ではなく、党を内側から動かすことが役目なのだ。

 

そう考えると、青山氏を中途半端な役で縛らず、自由な立場で出馬させることは、高市氏にとって最も理にかなった道になる。無役は冷遇ではなく、大臣への迂回路である。

 

もちろん、これは私の推測にすぎない。だが、答え合わせは来年の総裁選でできる。青山氏が出馬するのか。出馬した後、高市氏はどう処遇するのか。その展開が、この推測の当否を証明してくれるだろう。