最近、我が家のチビ(メス猫、3才)が毛玉を吐くようになりました。
嘔吐の前兆がみられたら急いでティッシュなどを前に置くのですがそれをさけるようにパソコンのキーボードの上とか掃除がしにくい家具の隙間などに吐き出します。まるで意地悪をしているようにしか思えません。 チビは吐いた後はケロッとしてフードを再び食べ始めます。
猫の飼い主さんの多くは同じような経験をされているのではないでしょうか?
猫はきれい好きの動物です。起きている時間の約25%を毛づくろいに費やしています。毛ずくろいによって、体の汚れや抜け毛を取り除き皮膚を清潔にたもっています。
猫の舌の表面には小さなトゲが逆向きについているために毛づくろいの時に毛を飲み込みやすい構造になっています。飲み込んだ毛はフードに混ざって胃から腸管内に送られ、最終的には便に混ざって体の外に排泄されます。
毛を吐き出すのは「猫の習性」と思われている飼い主さんもいるかもしれませんが、健康な猫(特に短毛種の猫)では飲み込んだ毛が胃の中で停滞したり毛玉になることはほとんどありません。したがって吐いたものの中に毛玉が混じっている場合は何らかの異常があると考えるべきです。
毛球ができる原因は飲み込む毛の量が増加するか胃の運動機能の低下あるいは胃の中の腫瘍や異物などにより胃の中の毛を小腸内に送り出せないと、胃内に飲み込んだ毛が停滞し毛球が形成されます。
毛球ができる原因は・・・
1.飲み込む毛の量の増加
・緊張や不安状態など、ストレスによる過度の毛づくろい行動
・換毛期の季節性の抜け毛の増加
・皮膚病によるかゆみや皮膚刺激のための毛づくろいの増加
・尿石症、関節炎などによる痛み
2.胃の運動機能の低下
・胃腸の働きが弱っているため胃から腸へと毛をうまく送りだせない。
・内臓疾患(膵炎、胆嚢炎、肝疾患)による胃腸の機能低下。
・腫瘍や胃内異物による胃から小腸への毛の排泄障害。
毛球ができると・・・
毛球は胃粘膜を刺激するので、嘔吐がよくみられます。毛球は細長い食道を通って吐き出されるので球状ではなく円柱状の形をしています。
嘔吐は有害な物質が体内に入って悪さをするのを防ぐための防御手段の一つです。ただし、嘔吐が長く続くと体内の水分や電解質などが失われて生命に危険を及ぼすこともあります。
毛球を放置しておくと次第に大きくなっていき、吐き出すことができなくなったり、腸でつまったりすることもあります。このような状態になると毛球を取り出す手術が必要になります。
我が家のチビのケースのように毛玉を吐いた後、何事もなかったようにケロっとしているようならそれほど心配することはありません。チビは毎日丹念にブラッシングをして抜け毛を取り除いてあげるだけで毛玉を吐かなくなりました。
毛玉を吐いた時「少し様子をみてていいものなのか?」それとも病院に診察に連れてゆくべきかの判断は飼い主さんにとっては難しい問題です。
専門家の間でも意見の違いがありますが
個人的には
・1日2回以上嘔吐する。
・1ケ月に3回以上嘔吐する。
・嘔吐の他に食欲の減少や元気がなくなってきた。
・皮膚が赤くなりかゆみをともなっている。
・痩せてきた。
・・・などの症状がみられる時には嘔吐の原因として重大な病気が隠れている可能性がありますので早めに診察を受けましょう。
毛球症の予防
毛球症を予防するためには、日頃からこまめにブラッシングを行うことが大切です。無駄毛や抜け毛を取り除くことで、猫が飲み込む毛の量が少なくなり、体内で毛玉ができにくくなります。
猫はストレスを感じるとしきりに毛づくろいをするようになるため、ストレスのない環境を整えてあげることも重要です。
飼育管理の不手際や病気などでで飲水量が減少すると体内の水分量が不足し胃の働きが弱まり毛球が形成されやすくなります。
ドライフードはどうしても水分不足気味になりがちです。水分含有量の多いカンズメ食に変更すると改善することもあります。
毛球対策用のフードやサプリメントは繊維質が多く含まれているので胃を刺激して胃の運動を促進する効果があります。