セントラル動物病院・院長ブログ

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犬猫の楽しい話題や飼い主さんが役に立つ飼育管理や健康管理の情報を発信します。

 福水ダイちゃんは12歳のダックスフンドの男の子です。福水家の長男です。

 先日の診察時に、ご家族さまから、彼の「かっこいい」写真を見せていただきました。

 

 ダイちゃんは肛門周囲腺腫(良性腫瘍)の治療のために3週間シャンプーを控えてもらっていましたが、腫瘍が完治し、シャンプーができるようになりました。

 

写真はお店の方に撮影してもらったそうです。

 

 

 

 ダイちゃんはこれまで脊髄の椎間板ヘルニアによる後肢の麻痺、心臓病、慢性副鼻腔炎など、様々な病気を経験してきましたが、ご家族のみなさまの愛情深いケアとダイちゃん自身の頑張りによって、現在は症状が安定し、毎日を楽しく過ごしています。

 

 診察室の外でのダイちゃんの元気な姿を見せていただきありがとうございました。                院長

 

                      

 

 先日、奥様、お子様、お祖父様の3人が、一匹の可愛い子猫を抱えて来院されました。飼い主さまは子猫の健康診断を希望されており、診察の結果、子猫は生後約3ヶ月前後で、健康状態も良好であることが確認できました。

 

 子猫の来歴について尋ねたところ、奥様はスマートフォンで写真を見せてくださいました。

 最初の写真は、自宅の壁が大きく切り取られたものでした。

 

 

 奥様によると、子猫を保護する2日前から、家のどこかで子猫の泣き声が聞こえていたそうです。泣き声のもとを慎重に探っていると、泣き声は自宅の壁の中から聞こえていることに気づき、仕方なく壁を切り取って子猫を救出したとのことでした。

 

 

 家庭にはすでに柴犬がおり、子猫との相性が懸念されたため、お祖父様がこの子猫を引き取ることに決まったそうです。

 

 すっかり子猫のとりこなったお祖父さまに抱っこされて子猫は幸せそうでした。

 

 写真は飼い主さまのスマートフォンの写真をおかりしました。

ありがとうございました。 院長

 

 糖尿病とは

食事中に含まれる炭水化物は、小腸で消化され、ブドウ糖となって血液中に吸収されます。

 

 血液中のブドウ糖は全身の細胞に取り込まれてエネルギー源として利用されます。

 

 ブドウ糖を細胞内に取り込むには膵臓から分泌されるインスリンの助けが必要です。

 インスリンが不足したり、効き目が悪くなると血液中のブドウ糖を細胞内に取り込むことができなくなり糖尿病になります。 

 

  糖尿病は原因により主に二つの型に分けられます

 

1型糖尿病

 インスリンをつくる膵臓の細胞が何らかの原因でこわされることでインスリンがつくれなくなるタイプの糖尿病です。

 犬で多くみられる糖尿病です。

 

2型糖尿病

インスリンの効き目が悪くなるためにおこる糖尿病です。

猫で多くみられる糖尿病です。

 

レオンちゃん糖尿病・闘病記

 

 猫のレオンちゃんは、2年前(2021年6月)、飲水量と尿量の増加のために診察におとずれました。血液検査の結果、糖尿病と診断しました。

 

糖尿病の治療はインシュリンの注射と食事療法が基本となります。

 

 インシュリンの注射量が少ないと十分に血糖値を下げることができません。反対にインスリンの注射量が多すぎると血糖値が下がりすぎて(低血糖)命の危険にさらされます。

 

レオンちゃんは通常のインスリン用量では血糖値をうまくコントロールすることができない「インスリン抵抗性の糖尿病」でした。

 

 治療開始時には、インスリン注射による血糖値のコントロールが不安定で、「糖尿病性ケトアチドーシス」や「低血糖症」で命の危険にさらされたこともありました。

 

 

低血糖で緊急入院となりました。

低血糖症で緊急来院した時でも、目だけはしっかりしていました。

 

入院

 時々、入院してインスリン注射後の血糖値の変化をみるための検査(血糖曲線作成)をします。

 

 

 

 

レオンちゃんは、診察台の上でも平然としておりおとなしく採血させてくれます。


 入院ケージ内でも、レオンは、何のストレスもなく自分の家のように過ごしています。

 

入院室をセカンドハウスと思っているのかもしれません。

 

入院中のレオン

 

 

予防接種自宅での治療

自宅での皮下点滴、一時はこんなに痩せていました。

 

 

 糖尿病治療の成否は、飼い主様による自宅での治療管理にかかっています。

インスリン注射、脱水症を防ぐための 皮下点滴、手作り食など、飼い主さまの献身的な看護により、最近のレオンの体重は少しづつ増えてきました。

 

少しふっくらしてきました。

 

飼い主様による手作り食

 

 

血糖値チェック

 

 1週間に1回、血糖値と血清ケトン体検査のためにに来院します。

 

採血が終わると「ゴハン」を催促します。

レオンは診察台の上を食事場所と勘違いしているふしがあります。

 

ごはんは?

 

ごはん遅い!

食事を出すのが少しでも遅れるとニャア(遅い!)と文句をいいます。

 

 食事を準備するアシスタントの洋子さんは「レオンさま、少々お待ちを!」といいながらいつもの食事を準備します。

洋子さんは「レオン」のことを「レオンさま」とよんでいます。

 

 

 あっという間に食事を終えると、さっさとケージの中で帰りを待つのがいつものレオンさまです。

 

 

 インシュリン注射を開始して2年が経ちました。

 

レオンさまは、今年のお正月を元気でに迎えることができました。

 

 私たちは、病気になると落ち込んだり、イライラしたりすることがよくありますが、病気に負けることなく、いかなる時も自然体で生きているレオンさまの生き方に教えられることがたくさんあります。

 

 レオン様、お互いに来年のお正月も元気で迎えましょう!

 

           セントラル動物病院 院長 尾﨑 隆

 

 

朝夕すっかり涼しくなり過ごしやすい季節になりました。

夏の間、中断していた朝の散歩をはじめました。

 

今回は私の朝の散歩コースを紹介します。

 

当院の前の県道の西側には田畑が広がっています。

 

田んぼ沿いの道を少し歩くと左側に小さなみかん畑があります。

まだ青いですがきれいなみかんの実がたくさんついています。

 

 

みどり小学校の裏門の前のたんぼには「かかし」が立っています。

かわいい「かかし」さんです。

 

 

コガネグモが巣を作っていました。巣の白いモヤモヤは白帯といって獲物をおびきよせるためのものだそうです。

 

 たんぼ沿いの小道にはかわいい花が目を楽しませてくれます。

 

 

15分ほどの散歩コースですが美味しい空気を吸って毎日の散歩を楽しんでいます。 院長

 

 

 シロちゃん、オス、11才が「尿に血が混じり、辛そうにオシッコをするとのことで来院しました。

 

 このような症状は膀胱炎、膀胱結石、膀胱腫瘍などでよくみられる症状です。

 

 原因を調べるためにエコーで膀胱を検査すると膀胱の出口付近に腫瘍らしきものが確認できました。尿を遠心分離して詳しく調べると、赤血球や白血球に混じって腫瘍細胞が検出されました。エコー画像初見と細胞の形態から膀胱移行上皮癌と仮診断しました。

犬の膀胱腫瘍のエコー検査

(エコー検査と尿沈渣の細胞診)

 

  犬の膀胱腫瘍の多くは悪性で、中でも移行上皮癌が80%と最も多く発生する腫瘍です。腫瘍の発生部位や病理学的悪性度にもよりますが、一般的には根治は困難で、周囲リンパ節や他の臓器に転移することが多い悪性の腫瘍です。

 

 

 

犬の膀胱腫瘍のイラスト

 

 腫瘍が増殖し、尿管や尿道の出口を物理的に塞いでしまうと排尿困難や腎不全といった重篤な症状を引き起こします。

 

 治療を始める前に、飼い主様には腫瘍は手術による外科的切除が困難な部位に発生しているので、治療は抗がん剤や消炎鎮痛剤などの内服治療が主体となることを説明させていただきました。

 

 飼い主様は副作用の強い抗がん剤の使用はさけて、腫瘍の進行を遅らせるための消炎鎮痛剤と抗菌剤の内服を選択されました。

 

 

診断から約1年が経過した頃です。

「オシッコが3日間出なくて辛そうにしている」と飼い主様がシロちゃんを連れて来院しました。

 

シロちゃんのお腹は膀胱にたまった尿で大きくふくれて苦しそうでした。

 応急処置として膀胱内の尿を吸引除去するためにペニスの先から膀胱にカテーテルの挿入を試みましたがカテーテルは尿道の途中で止まって膀胱内に挿入することができませんでした。膀胱内の腫瘍で尿道が完全に閉塞してしまったようです。

 

 このままだと体内でつくられた老廃物を体外に排泄することができず尿毒症により死亡することは避けられません。

 

 膀胱腫瘍末期の延命治療の一つに膀胱腹壁瘻(ぼうこうふくへきろう)という手術法があります。この手術は膀胱をお腹の皮膚に縫いつけて皮膚に開口させて体外に尿を排泄させる方法です。

 これにより膀胱から皮膚に直接尿が出るために「尿やけ」による皮膚炎や膀胱内に細菌感染がおこりやすくなります。もちろん、飼い主さんは毎日オムツの交換をしていただくことになります。

 

 この手術により、腫瘍がどんどん大きくなって尿管が塞がってしまうまでの間はシロちゃんを苦痛なく延命させてあげることは可能です。

 

私は飼い主さんに延命治療としてこの手術を提案しました。

 

飼い主さんはしばらく考えていましたが最終的には手術することに同意してくれました。

 

すぐに、シロちゃんの緊急手術を開始しました。シロちゃんは麻酔がかけられ、最初に膀胱内に貯留した尿を抜き膀胱を小さくした後に膀胱を切開してお腹の皮膚に縫合固定しました。麻酔の覚醒も順調で無事手術を終えることができました。

 

10日後に抜糸が終わりました。

この部位からオシッコが体外に排泄されます。

 

手術をしてから4ケ月が経ちました。経過は良好です。

「病気であることを忘れるくらい元気です」と飼い主さん。

オムツ交換も随分と上手になりました。

 

シロちゃん! 美味しいものをたくさん食べて、優しいご家族の皆さまと大切な1日1日を楽しく過ごしてください。(院長)