一般の方もお読みいただけるように書いてみました。
医学学会の学術大会というのは、一般の方々には縁遠いというか、知りもしないとは思いますが、鍼灸の学術大会では様々なジャンルの研究発表がなされ、エビデンス(科学的根拠のある治療方法)・受診する方にとって安全で効果のある治療方法の研究も多く、皆さんがそれぞれの分野の研究で得た良い結果(効果的)良くない結果(効果が得られなかった)を発表をされます。
発表されるジャンルも、心拍への影響や筋肉への影響などの基礎研究から、内科疾患、ストレス等の精神疾患、整形外科疾患、産科・婦人科系疾患、消化器系疾患、循環器系疾患、眼科系疾患、耳鼻咽喉科系疾患などなど、あげるときりがないのでこの辺でやめておきますが、研究者や臨床家が自身の専門分野のご発表をされていて、私(千田)も今回もたくさんの勉強をさせていただきました。
私の専門のひとつであるストレス疾患や心身症、疲労、自律神経疾患については、なるほど新しいと思える研究結果は聞けませんでしたが、ただ、専門のひとつとして行っている、不妊治療については特に鍼治療においては、特定の場所に打つことで、交感神経が抑制されて子宮の血流回復や良い卵ができる確立が増えることなど、割と数多くの症例数からも一定のエビデンスがあることがわかる発表が今回は多くありました。
また、妊娠うつや産後うつに対して鍼治療が有効な方法のひとつであるという発表もあり、これに関しては、私の専門でもあるので質問もさせていただきましたが、妊娠中の鍼によるサポートは妊娠に伴う様々な症状に有効であることはわかっていて、妊娠中のうつや産後うつに対しては、うつになったから鍼治療を受けると良くなるいうよりも継続していてそれらの状態が軽減できるということであろうと思われた。
また、男性においては、以前よりED治療として、不妊治療で鍼を打つ場所と同じ場所に鍼を打つことで効果があるということはわかっていたが、ただ、心因性EDの場合は、ケースにもよるが認知行動療法を用いた方が有効であろうとは考える。
当ルームでは、鍼治療を受けていないで妊娠中や産後うつになってしまった場合は、認知行動療法がメインで鍼治療を加えるという方法を取るようにしている。
鍼灸治療においては、エビデンスばかりを考えるのはあまりよろしくないと思っている治療者や1000年単位で続く過去の教科書に治療方法のすべてが書かれていると考えられている治療者もたくさんおられます。このような考えをされている治療者の方が現在医学で鍼治療の方法を考える治療者よりも圧倒的に多いのが日本の鍼灸界です。
ただ、現在はMRIをはじめ、自律神経検査、血液検査、遺伝子検査、NIRS(機器を用いて脳血流を測定)などなど、昔にはなかった検査機器によって、鍼灸治療がどのように作用したり効果があるのかということがわかるようになってきています。
遠い昔には、そのようなことがわかりようもなかったので、たくさんの経験の積み重ねから良くなったので正しいということになっていたし、また、それが正しかったと考えます。しかし、現在は正しいことと正しくないことがある程度、検査機器をはじめ様々な検査を通してわかるようになってきております。
もちろん、検査機器などを用いてもなぜ良くなったのかが、わからないことのほうが鍼灸も医学全般も多く、だから、医師も鍼灸師も研究を行っているわけです。
例えば、私の専門でもある脳血流や脳内のセロトニンなどについても、顔のある場所や四肢末端にパルス治療を行うことで改善することがわかっております。
顔については、鍼灸師が習うツボの位置ともぴったり一致しており、そのツボは正しいということがわかったのですが、それは、やはり検査機器を利用しなければ科学的にはわからなかったことではあります。
このように検査機器を用いての研究結果から、患者さんにはこのようなことが起こるのでこの場所に鍼を打ちますと言えると考えております。
最後に、全日本鍼灸学会は最大の学会ではあるが、今回の参加者は1000人はいかなかったと思いますが、参加者がやはり少ないのが残念です。というのは、鍼灸師は全国に現在約10万人いるのですが、それから考えるとあまりにも少なすぎると考えております。
千田は今後も受診される方々に安全で効果がわかっている、わかりつつある鍼灸治療と、もうひとつの専門である認知行動療法を用いてこれからも良い治療を行っていく所存です。