今日は用事があったので、あらすじだけです。

 

 

 寅ちゃんは出勤はしたものの、昨日の穂高大先生の退任祝賀会を思い出し、激しく落ち込んでいる。何も手につかない。

 と、そこへ穂高大先生が訪れた。寅ちゃんを残して、他の者は外回りの仕事に出かけた。穂高大先生は、

「いろいろ、すまなかったね。私は西洋的理想を口にしながら、多くの人が納得できるような新しい何かを作り出すことが出来なかった。私は古い人間だ。だが、君は違う。婦人で初めて弁護士になった人だ。君は社会の最先端を走っている。既存の考えから飛び出して、新しい何かで人と社会を救うことをできる人だ。心から誇りに思うよ。それを伝えたかった」と話した。寅ちゃんは、

「先生は、西洋の価値観を取り入れ、時代の先端を歩まれたと思います。尊敬しています。」と返した。

 穂高大先生は、「佐田くん、時代は流れていくものだよ。氣を抜くなよ。人々の流れの、その先を感じ取り、溺れぬように流されぬようにして、美事な出がらしになってくれたまえ」とエールを送った。

 そんなことがあって数日後、寅ちゃんは、栄ニ君の気持ちを聞くための時間を作れた。

 調査相談室に、調停委員と栄二君と寅ちゃんがいる。

 調停委員の問いかけに、栄二は人形よりもうつろな顔をして何も答えない。

 寅ちゃんが「もう、どうでもいいわよね。」と言って、話を始めようとした。しかし、栄二は何も答えない。寅ちゃんは「どうでもいいことも、どうでもいいよね」と寄り添い、栄二の複雑な思いに近づいて、正しい味方になろうとした。

 寅ちゃんは「私は、栄二君の苦しみは本来あなたが背負わなくて良いものだと感じるの。もし、あなたが、両親のどちらかを選べるのなら、その気持ちも自然なことよ。ただ、私の本心を言うと、あの御両親にあなたを預けたくないわ。それが普通の責任がある大人の感覚だと思うわ。世の中はそういう大人の方が大半よ。信じて大丈夫なの。あなたの犯した罪は償わなければならないけど、私は、栄二君に普通の責任感がある、そんな人間の感覚に戻って欲しいの。人の心の裏側は、大人だって苦しいものよ。それでも用心しながら、信じて大丈夫なの。私も信頼していたのに裏切られた気持ちになって、いい年をした男性を二人まとめて、直接ではないけど、花束で引っ叩いてやったわ。つい最近よ。後でちゃんと謝りに来たわよ。それでいいの。」

 栄二の口が白け気味に少しだけ緩んだ。

 寅ちゃんは「そんな大人たちの中でも、優しかった人はいた?誰かあなたの味方になってくれそうな人が思い浮かぶ?」と尋ねた。

 栄二は、「味方?」。。。しばらく考えて「勝枝さん」と答えた。彼は、初めて口をきいた。

 勝枝は父親のお姉さんで、父親の浮気を激しくしかったので、父親は栄二と会わせないようにした。

 栄二は勝枝に子供用の映画に連れて行ってもらったことがあった。彼が母性を感じた人が、勝枝だ。

 栄二は寅ちゃんにも少しの人間愛を感じている。

 寅ちゃんは、「勝枝さんに連絡をとってみましょうか?あなたの味方になってくれるかもしれないから」。

 栄二は「味方?」。

 寅ちゃんは「とにかく、私はあなたがもうこれ以上、理不尽に苦しまない方法を探したいの」と言った。

 栄二は少し考えたが、諦め気味に深くうなずいた。

 寅ちゃんは栄ニの気持ちを事細かに、少年部と家事部の所長に伝えた。所長達は希望が見えたので、叔母の勝枝に連絡を取った。

 勝枝は事情を聞いて、栄二の監護者になると申し出た。それを条件に、親権は父親に渡された。栄二は保護監査処分となる。

 その頃、穂高大先生は眠ったまま、安心してあちらの世界に旅立った。

 葬式の後、甘味処「たけもと」に集まった寅ちゃん、髭ダコ多岐川、ジャム男ライアン、そして、桂場と餡子の山盛り、ひっくるめて、彼らは弔いの酒をのんだ。

 激しく酔っ払った桂場は法律の理想を実現するために、「常識の、毒を食らわば皿までだーー」と言って、餡子の皿に噛り付いた。なんか、甘さにこだわる男でっす。

 寅ちゃんは、法律の理想を実現するために、虎視眈々と狙うと言った。あの、えー、寅が虎視眈々、という高度なダジャレです。

 じゃぁ、虎視眈々のお返しに、鶯は、法ーー法っ経ー(ほーー、ほっけきょー)と飛んで逃げ。

 故穂高大先生は尊属殺について、「今回の判決は、道徳の名の下に国民の平等を否定し、法律で道徳を規定するものであり、それを認めれば憲法14条、法の下の平等が壊れる。ゆえに憲法違反である」と、意見書を書いていた。

 これは、法律の真意(法の精神)において、社会を維持するのが法律なのか、社会を助けるのが法律なのか、社会をより善くするのが法律なのか、という話しになると、和至は思う。

 それを突き詰めると、法律は社会を支配するために運用するものか、それとも、法律は社会の福祉のために運用するものか、という判断の問題になると思う。

 これって、愛の家庭裁判所の少年部と家事部の関係に似ている。つまり、社会生活の中にある厄を、解決させるのか、消滅させるのか、そこの判断でしょうね。突き詰めれば、生かすか、殺すか、ですね。

 寅ちゃんは、とりあえず誰も始末せずに、栄二の案件を解決しました。

 ところが、娘の優美の寂しさと心遣いに、寅ちゃんはまだ気づいてないようです。職業婦人、あるあるです。

 

 今日は、午前中に用事ができたので、あらすじだけになりました。