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『しのゼミ』

日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

長男いっ君が女子生徒に電話している。

この秋の文化祭でいっ君の所属する吹奏楽部の発表があるので,それを聴きに来ないかという内容。

父親の前で電話するくらいなので,誘ってどーのこーのという魂胆は無いらしい。

ちなみにこの女子は小六の時の同級生で,今は別々の中学に通っている。


 「・・・ってことで,いろいろ仲間誘ってんねんけど,今度の日曜ヒマ?」

 「・・・・(ちょっと忙しいわ)・・・・」

 「そーかダメか,いろいろ電話してんねんけど,誘った男子は全滅やねん」

 「・・・・(あっそーなの,みんな部活とかで忙しいのかな)・・・・」

 「ところでさぁ,イギリスとフランスとスペインとイタリアとポルトガルで,どれが一番やねん?」

 「・・・・(え~と,フィンランド)・・・・」

 「フィンランドってなんやねん,入ってへんやんか,何言ってんねん」

 「・・・・(えへへ,そーやんね)・・・・」

 「オレさ,スペインめっちゃ好きやねん」

 「・・・・(へ~なんで?)・・・・」

 「分からんけど,まぁそんな話はええねんけど,じゃあ来年の文化祭はきっと,っちゅーことで」

 「・・・・(来年はみんなで行きたいね)・・・・」

 「今回は残念やけど,ほんならな,さいなら」(プチッ)



このグローバルな展開と滅茶苦茶なロジックに若さを感じる。


大先輩の先生がお亡くなりになった。

享年65歳・・・まだ現役で活躍されていたが,病魔に侵されているのが分かって闘病→逝去に至るまでがたったの4ヶ月ほど。

あまりの急な悲報に,聞いた皆が一瞬「えっ?・・・」と言葉を失っていた。

こんな突然の訃報に際して,冷静かつ的確にその情報を関係者に知らせるのも医局の仕事の一つだ。

自然発生的な訃報連絡ではどうしても漏れがあり,(医局に代表される)所属組織単位での体系的連絡網が威力を発揮する。

負の面のみが強調され報道される医局制度だが,こんな互助制度のような働きも担っている。

ちなみに自分もこの医局に属している以上はこの連絡に一肌脱がねばならないが,今回自分が割り振られた関係者は,「タフ」というか「ディープ」というかなんちゅーかそのー・・・ちょっと年輩でどっかの部長先生とか元部長先生とかでどちらかと言えばうるさ方・・・そんな病理関係の先輩先生達だ。

まぁいろんな事情が重なって,自分にこのお鉢が回ってきたというか押しつけられたようだが・・・まぁ文句言っても栓ないこと。

それに,迅速性も大事だ。

一般に通夜や告別式では「見えない出席」が取られており,欠席で体裁が少し悪くなることがあるのはどこの世界でも変わらない。

中には「もうちょっと知らせが早ければ・・・」とはっきり言われる先生もいるので,少しでも早い情報提供が必要になる。

今回のケースは第一報が週末夕方に入り,しかも通夜が明日夕・告別式があさってという過密なスケジュール。

週末というタイミングの悪さを恨み,時間的余裕のなさを嘆いているヒマがあったら,すぐにでも連絡を始めた方がいい,ホントに一刻も早く!。



つかの間の電話かけまくりマシーンとなるワケだが,これがコトほどそう簡単ではない。

たとえばA先生は重鎮先生の一人。

長年の喫煙が祟って肺を患い,最近は公式の場に出席されていない。

どっから出てくるのか,「もうそろそろ・・・」という口さがない噂も耳に入って来る。

A先生と親しい方も遠慮して,最近はほとんど連絡を取っていないようだ。

そんな背景を皆が知っているにもかかわらず,今回自分がかける電話対象者リストに入れてある。

「オイオイちょっと待ち~や」とか「何でオレやねん」との思いを封印して電話してみると・・・・・

電話に出られた奥様と思しき怖そう?なヒトに,必要事項をお伝えするだけにしよっと思っていたら,「主人に代わります」とあっさり電話をつないでくれる。

「お~久し振りやなぁ」と電話口でのA先生は案外元気そうだ。

しかし,聞けば噂に違わず片時も酸素ボンベを手放せない様子。

○○先生逝去の報に接して「何~っ?」と一瞬感情が剥き出しになるが,「・・・そうか・・・先を越されたか・・・」ボソリとつぶやかれる。

そして,「体調は良くもならんが悪くもならん」とか「体重も減ってへんけど,いつまでこの低空飛行が続くかは分からんしな」とか「幸いまだお迎えが来んし,今年の冬は何とか越せそうやな」とか,ポツリポツリ近況をお話になる。

ご自分の体調と真正面から向き合い,どうしてもその動向を気にせざるを得ない日常が垣間見える。

辞してひとり死を待つ・・・と言えば大袈裟だが,そんな寂寞というか孤独を感じる。

久し振りの電話なのだろう,楽しそうに話されるそんなA先生に対して,こちらの都合で唐突にいきなり「じゃあ次もあるんでごめんなさい(ガチャン)」と電話を切るヒトがもし居るのなら,お目にかかって「人間っちゅーのはなぁ・・・」と説教たれてやりたいっちゅーねん!。

自分もついつい長々としゃべってしまい,この連絡に小一時間を費やす。



たとえばしゃべり好きで宴会隊長であるB先生の場合。

OB会などの折にこの先生にマイクが回って来ると,自身やご家族の近況も交えつつ,昔から最近までの医療・研究・教育に関することを延々滔々しゃべり続ける。

その内容が面白いからまだ救われるが,一旦マイクを握ると放さないタイプ。

そんな背景などお構いなしというかそれだからこそなのか,自分の電話対象者リストに入っている。

「あっちゃー」とか「こりゃ相当な長電話になるな」との思いを封印して電話してみると・・・・・

「え?あの○○先生が?」と訃報を伝え聞いたB先生はしばし絶句。

しかし数秒での立ち直り早く,
「最近は○○先生とは年に2~3回食事をするくらいやけどな,昔はいろいろあってな・・・」
と,まずは○○先生との思い出からスタート。

ひととおり思い出話が終わると今度は,
「ところであんた,誰やったっけ?」「シノと言います,今は大学病院病理にいます」「そっかそっか,知らへんくてスマンかったけど,知っとかなあかんな・・・」
となって,病理関係者の近況などに話が移り,
「ところでシノ先生には,子分はおるんか?」「はぁ~今は女性二名と一緒に仕事してますが,子分と言えるほど言うことを聞いてくれるかどうかは別です」「あのな,子分は大事やでぇ・・・」
と,今度は組織運営論へと話が変わっていく。

しばらくすると突然,
「うしろで嫁はんがもう止めぇ!ってうるさいんで・・・・・○○先生の件はわかりました,どうもありがとう,それじゃあ」
と電話が切れて,ようやく解放。

おそらく受話器を持ったら梃子でも放さない大先輩のB先生に対して,こちらの都合で唐突にいきなり「じゃあ次もあるんでごめんなさい(ガチャン)」と電話を切るヒトが(奥さん以外で)もし居るのなら,お目にかかって「ぜひ弟子入りを・・・」とお願いしたいもんだ。

結局はこの電話にも小一時間を費やす。



そんなこんなでおよそ3時間で10名弱に連絡を入れる。

3時間もあってたったのそれだけ?と言う莫れ!。

電話するだけでいろいろあるものなんだ。



この9月は台風が10コくらい上陸するような慌ただしさ,溜まるのはストレスばかり。

仕事としては,病院に行って出来上がった標本を見て病理報告を書いて・・・っちゅー決まりきったことをするだけやけど,それにプラスアルファーが次々と加わるとどーもならん。

そのプラスアルファーっちゅーのは,たとえば病理講義だったり研究会発表だったりするんやけど,そいつらはこの9月にあるんやで~ってすでに分かっててん,こりゃしゃーないし文句言っても始まらへん。

その講義やら研究会やらの数が例年に比べて2倍くらいに増えてるのはドーユーこっちゃ?ってゆう根本的な労働問題を争点にしてやりたい気は山々なれど,これは棚上げにしといてあげるねん。まぁええねん。

それに加えて,いきなり会議やらなんとか委員会が明日夕方5時からやでー,えっ?そんなの聞いてへんわとか,病理の写真お願いします,えっ?飛び込みかよーかなんなっちゅー依頼やらで,ますます時間が削られてさらに難渋することになる,これをプラスベータ的な雑用と名付けても埒もなし。これもええねん。

何がアカンかっちゅーと,先日の病理の講義での出来事。

その講義は今年でまだ二回目っていうこともあって,一生懸命講義の準備してんねんけど何か足りんなぁ~おもろないしパンチが無いねんって思っててん,まぁこういうことは張本人っちゅーか聴衆っちゅーか受講学生に直接聞いた方がええかもしれん,フィードバック用紙を配るから何でもええから講義の感想書いてくれ,それを読ませてもろて来年からの参考にさせてもらいます,ってことにしてんねん。

講義の方は粛々と淡々と懇々ととんとんと・・・・・まぁどーでもええねんけど言いたいことは言い尽くし説きたいことは説き尽くし受講生もそれなりに分かってくれたようでいちおう滞りなく終わってやれやれ・・・となって,じゃあ最初に言ったようにフィードバック用紙回収しますってなって,受講生も協力的に用紙を提出してくれた・・・まぁここまではええねん。

で,部屋に帰ってそのフィードバック用紙を一人読んでると,まぁそりゃそのーなんちゅーか言われて飛び出てじゃじゃじゃじゃ~~ん的なことが書いてあったワケで,それ以来その内容が頭から離れんねん,ずーっと。

その内容っちゅーのが「めがエロい」。

その投稿者は女性,但しこれはフィードバック用紙欄外に無造作に斜め書きされていて,メモ的な落書き的な消し忘れ的な印象を与え,したがってこの内容をどの程度まで演者であるところの自分に訴え主張したかったのかは分からん。

意味としては,「めがエロい」の後半部分であるエロいがeroticの省略形であることは死語化したナウいとnowの関係を持って来るまでもなく分かるんだが,前半の「めが」なパートがmega=メッチャってなことで使われてるのか,「目が」であってマイフェイスに関する個人的見解であるのかが分からん。

まぁ「めが」パートを無視するとしても,この講義を通じてほんと有り得んことやけど性的にサムシンググレートなものを自分から感じ取ったのかもしれんし,実は隣に座ってた子と昨日のTVドラマのシーンの話で盛り上がってて共演者の感想を筆談してたのをついつい消し忘れてしまったのかもしれんし・・・真偽の程はわからんし闇の中。

鏡でじっと自分の眼を見るも特に変わった様子はないし,いつもの眼やし,何も感じんし・・・こんな投稿してオレにどーせーっちゅーねん,中傷されても誹謗されても揶揄されても何にもできんし・・・こんなこと忘れよハイ忘れたでも忘れられんってな感じで頭離れず,我知らず落ち込んでてん。

なんかベタでどーでもイイことを吐きだして少しだけスーッとしたわ,これもブログの妙。

川上未映子風味のぼやき(のつもり)やけど,こりゃ書きやすいわホンマ。


同級生の外科医JOが何も言わずに僕の部屋に入って来た時,僕は三十五枚目のプレパラートをのぞいていた。三十六枚目のプレパラートに移ろうとするまで,JOは物問いたげにおとなしく僕の前に突っ立っていた。

「顕微鏡を見るのって楽しい?」

僕はそれには答えず,片づける手筈になっていた術中迅速のプレパラートを机の上に並べた。
先程,手術室からやって来た検体は,JOが所属する診療科からのものだ。JOが主治医であるのかどうかは分からない。

「少なくとも高悪性じゃない」

僕は気になった病変の近くに赤ペンで印を付けながら,JOの方を見ずにそう言った。

「・・・ってことは,良性?」とJOは少し考え込んで言った。

「わからない。」

「顕微鏡をのぞいても決まらないことってある?」

JOはそう言って,僕が顕微鏡をのぞき続けるのを眺めていた。

「たまにね。」

「何故?」

僕は少し考えてから言った。「それは切り取られたホンの一面だからさ。」

「どんな一面だった?」

「何が?」

「今回の術中迅速のプレパラートさ。」

僕は冷静に少し考えてから,顕微鏡からJOの方へ向き直った。

「そうだな」と僕はぼんやりとしたJOの顔を見つめながら続けた。

「今日で賞味期限が切れるアップルパイが二つあるとする。急いで今日中に一つを食べると,あまりおいしくないし,消化不良で少し腹痛を起こしてしまった。ここまではいいかい?」

JOは手にした資料を丸めながら,黙って僕の話の続きを待った。

「次の日に期限切れになった残りのアップルパイをゆっくり食べると,とても甘くておいしいし,今度は何も起こらなかったんだ。これって,なぜだかわかるかな?」

「うーん」とJOは言った。「一つ目を食べる時,急いでいたから?」

「そうとも言える」,僕は顕微鏡に再び目を移しながら答えた。「つまり時間が形態とすると,賞味期限が良悪の境界で,味覚は病理診断ということになる。わかる?」

「ふうむ」とJOは考えながら言った。「病理診断って不思議だね。俺にはわからない。」

「まぁわからなくていいさ。今回のパイは少し味が変だったってことさ。これでいいかな?」

「ああ。」

JOはそこで肩を竦めて一息ついた。

「そんなことよりも,お腹が痛くなった時にどうしてくれるかが重要だと思うよ。」と僕は話を続けた。

少し考えてからJOは言った。「俺ならビールを飲んで寝ちまうよ。」

「腹痛が治らなかったらどうする?」

「我慢するさ。そうすればいつかは治る。そうだろ?」

「さあね。」と僕は言った。





・・・・・久し振りに村上春樹を読んで,なぜだか異様にマネしたくなった。

やってみると,他人の下着をつけるような居心地の悪さがあった。

なんだか疲れた。


▼ 9:00

そぼ降る雨模様の週末の朝。

長男いっ君を「先輩との勉強会」と称する怪しげな催しに送った後,献血センターに出向く。

しかし,すでにその駐車場は満車だ。

せっかく時間を作って早めに来たのに・・・。

そもそも前から気になっていたんだが,ここの駐車スペースが狭いのは少し問題ちゃう?。

15台程度のスペースしかないのは,少なすぎに思える。

まぁ平日の事情を思えば,15台のスペースは適正なんだろう。

それに,もし30台に増やしたとしても,今度はセンターの設備的あるいは人的キャパを超えるかもしれん。

ったくもー。

しょーがない,文句言ってても。

とっとと出直そう。

待つのはとにかく嫌いだ。



▼ 12:30

ちょうどお昼時の時間帯。

長女ちーを塾に送ったそのついでに,もう一度センターをのぞいてみる。

外食レストランじゃあるまいし,いくらなんでもこの時間は空いてるやろと予想するが・・・

またしても駐車場満車!。

こんなこと初めてやし,ちょっとおかしーんちゃう?。

そりゃあ雨で外出も躊躇われるし,どーせなら献血でも行くか・・・・・そんな人間の行動心理学的傾向があるのは想像に難くない。

自分も同じやし,それに文句はない。

善意で献血に来て下さってる方々の行動を問題視するのは見当違いで,その行動パターンを予測したうえでのセンター運営をまずは考えるべきだろう。

何が主張したいかって言うと,みんながご飯食べている真昼間,お腹ペッコペコな時間帯やで~~ってことだ。

つまり,この時間帯に待たされているヒトがセンターの内外に少なからずいるってことは,少し問題かもしれん。

混雑するのが分かっているのなら,もう少し別なやり方があるんちゃう?と思ってしまう。

・・・まぁそういうことはエライ先生に御一考願うとして,ともかくこんな時間帯でも満車は満車。

「傘がない」ではないが,

だけども~
問題は~
今日の雨~
駐車スペースがない~~~~

てな心境だ。

たった一台分でいいから・・・と思うも,空いてないもんは空いてない。

再び退散するが,不満の吐け口が見つからず悶々とする。



▼ 16:00

献血の受付終了にはまだ少し時間がある。

遅がけを狙って,三度目のチャレンジでセンターへ向かう自分。

これって,いわゆるあきらめが悪いタイプ?。

もっと悪く言えばしつこい?。

良く言えば精神的に粘りがあることになるかもしれんが,本人的には単に意地になっているだけだ。

センターに着くと,さすがにこの時刻には駐車スペースは空いている。

やれやれ・・・と,やっとの思いで駐車完了。

フフフ・・・ファーッハッハッハァーッ。

今日の朝からの念願がとうとう叶って,とりあえず満足だ。



▼ すると・・・

プルプルプルプル・・・っとタイミングよく,携帯の呼び出しが鳴る。

いっ君からで,(何かは知らんが)予定より早く終わったので,駅まで迎えに来てほしいとのこと。

せっかくここまで来たのに・・・。

しょーがねーなー。

献血はできなかったが,まぁとりあえず駐車はできたので良しとするか。

・・・・・考えてみれば,確かに強く思ったことは叶ったかもしれん。