『しのゼミ』 -21ページ目

『しのゼミ』

日常で出会った「気付き・笑い・学び」を綴っています

同級生の外科系医師JOが再婚するという。

初婚の破綻から2年ほどが経ち,そろそろ何か動きがあっても良さそうだとは思っていたが・・・。

いきなり自分の部屋にやって来たかと思うと,「○月△日,空けといてや」と言いだすJO。

「はぁ?飲み会?それともゴルフ?」と合点がいかぬ自分。

「イヤ,又で悪いが披露宴やねん」

「けっ・・・結婚か?」

四十も過ぎたバツイチ野郎が,めでたい話に行きついたようだ。



めでたいにはめでたいんだが,周囲のムードは意外に冷ややかだ。

やめとけ,JO!・・・なんていう,洒落にもならない声まで聞こえてくる。

こういう不協和音が発生するには,それなりの歴史というか理由があるのは世の常だ。

別に自分たちJOの取り巻きが,非情と言うか甲斐性無しと言うワケではない。

最初は自然消滅だった。

思い出すのも億劫だが,6-7年前だったろうか。

確かピアノ?の先生との婚約相成ったJO。

その披露宴の案内が来たので,何かの折にフィアンセのことなどをJOに尋ねてみた。

「何してる娘やねん?」

「ピアノの先生」

「ピアノとはまた,どこでどうなったん?」

「今スイスやねん」

「はぁ?スイスって?」

「結婚前に留学したいって言うからなー」

「へぇ~,なんかスゴイな」

「まぁ電話代,バカにならへんけどな」

いちおうそんな惚気めいた会話があったんだが,その時,少し変だなって思った。

なぜって,この会話をしたのが披露宴の2~3か月前。

こんな直前というか土壇場になっても,まだスイスなんぞに居ってエエのんか?

そもそも婚約成って留学するとはこれ如何に?

まぁヒトそれぞれやけど・・・ふ~んって思った。



披露宴の1か月前くらいになって,どういうワケでだったかは忘れたが,JOに電話した。

そしてごく軽~い気持ちで,“明日の天気って晴れたっけ?”的なノリで,今度の披露宴の進捗などを聞いてみた。

すると,JOも“明日は雨降る,言うてたでー”的な軽~いタッチで返してきた言葉が,

「あっワリーワリー,あれ,無しになってん。」

「・・・無しって,どーゆーことやねん?」と,まるで初めてスケート靴を履いた氷上のド素人の如く,内心ずる~ってズッコケて立ち上がれないでいる自分。

「まぁいろいろあってな・・・」

「そっか・・・まぁいろいろあるわな」

何があったかはそれ以上聞いてないが,そのフィアンセは結局スイスから戻って来なかったらしい。



それにしても,この(自然消滅した)披露宴の予定日には,少なくとも数名がそんなこととは露知らずにノコノコと会場にやって来たかもしれん。

それくらいの“自然消滅ぶり”だった。(つづく)



父は父なりに頑張ったつもりなんだ。

しかし現実は厳しく,自分の標本の読み方・所見の解釈の仕方にはまだまだ甘さがある。

この日の研究会は散々であり,気分は海底1万メートルに達するほどにdownしている。

甘さからくる準備不足がもたらした,言い足りないための誤解,中傷にも聞こえる指摘・・・・・

済んだことは仕方なく,これらをグッと飲みこんで,明日への糧にせねばならぬ。

こういう時には酒かっ喰らって,好きな音楽に閉じこもり,頭を空っぽにしてやりたい。

ちなみにこんな時に流す音楽は,キースジャレットの「ケルンコンサート」なんかがいい。

どこまでも静かで,どこまでも深くって,そしてどこまでも透きとおっている。

ピアノを介した感情のほとばしりに身をゆだね,リビングのソファーで独りになる自分。



そこへ長女ちーがやってくる。

母と一緒にリビングのテーブルを陣取って,社会の勉強をしようとしている。

「え~っと・・・・・こんでんえいねんしざいほう,か・・・」

「これは,白村江の戦いでええ?」

歴史の一問一答が始まったようだ。

BGMに流れるキースジャレットは,ちーの勉強をも後押ししてくれるかもしれん・・・・・

するとまもなくして,ちーが言い出す。

「ねぇ,お母さん・・・」

「何?」

「音楽,うるさいー」

「なら,消そっか?」

「うん」

そうして何も言わずに,CDをオフにするちー。

静かになったリビングで,ちーの社会の勉強がまた始まる。



娘よ・・・おまえまでもが仕分けのようなことをするのか・・・・・



▼ ケーススタディー1

自分の外勤先である某市民病院検査部にて働く女性技師R子さん。

30代前半,生理検査担当,昨年に長子出産後に職場復帰。

ペーパーワークに勤しむ技師長と,顕微鏡をのぞく病理医=自分がいる検査部奥の部屋へ,R子さんが入ってくる。

さらに奥には控室があるので,つかの間の休憩やら気晴らしやら時間つぶしやらをしに行く途中なのだろう。

通り過ぎる刹那,あっ,ちょーど思い出してん,あたしそう言えば技師長に話あんねんってな感じで立ち止まるR子さん。

「あのー技師長・・・」

「ハイ」

「すみませんが実は2人目ができまして・・・」

「あっ・・・ハイ」

「予定日は来年の6月頃なんで,よろしくお願いします」

ちょっとトイレ行ってきます,ハイどうぞ的な軽~い言葉のキャッチボール。

うかうかしていると左耳から右耳へとスルーしていきそうになる,人事に関する重要な情報伝達。

産休を願いでるR子さんに対する技師長の返事は,

「・・・分~かりました。」

上の空で答える技師長の心は,それに対する備え・対策・段取りもろもろに既に奪われている。



▼ ケーススタディー2

我が病院病理部にて非常勤職員として働いている女性技師Oさん。

20代後半,独身,細胞検査士。

そんな彼女が,仕事も一段落ついた夕方遅くに自分の部屋に訪ねて来る。

「あの~シノ先生,すみません・・・」

彼女の姿を見た途端,なにか言いにくそうなことを言いに来たったで~・・・っちゅー危険な香りを感じる。

意を決したような顔は少しこわばり,下腹部手前でかしこまった感じに両手を重ねている。

「ん~,なんや?」精一杯の何気なさを出しつつ,どーせやっかい事を言い出すに決まってるわ・・・と観念しつつ,彼女に尋ねる自分。

「あの~,実は言いにくいんですけど,今度の3月に退職させていただきたいと思いまして」

「・・・・・」

「実は付き合ってる彼が東京に転勤になるので,あたしもついて行こうかなって思って・・・・・すみません,ご迷惑かけて」

うわ~最悪,マジ~?,なんで辞めんねん,ひょっとしてウチらになんか不服でもあったんちゃう?,それに今から新しい人探すって言っても遅くはないけどギリギリやんか,しかも細胞診ができるヒトなんてそー簡単に見つかるハズないし,は~あマイッタなぁ・・・・・

こんな心中に桜島の火山灰のようにムクムクと噴き出す諸々なることなんて,これっぽっちも思っていないよってフリをしつつ,ここは一つ上司らしくエエことを言ってやらねばならぬ。

そこで咄嗟に出た自分の言葉は,

「そーか・・・細胞診,これからも続けるつもり?」

上の空で会話を続ける自分の心は,どんなヒトを面接で選ぼうかという次なる問題に既に奪われている。



▼ 考察

それにしても,どうして「へえ~,おめでとう」って言えなかったんだろう?




ツイテない日があるもんだ。

この日の午前には,研究に使う某分析機器が急に動かなくなる。

これまで何不自由なく動いていたのに・・・なんでやねん?なんでやねん?はぁ~もーかなわんなぁ~,なんとかせーっちゅーてもどもならんし・・・・・

まずは病変の面積を測定して・・・というこの日の最初の計画が潰れてしまい,出鼻をくじかれた格好だ。

気を取り直して顕微鏡に向かうと,今度は過去に病理診断した件についての電話がある。

以前に提出された病理検体で,悪性かどうかどーもよくわからんので再検してください,と報告したものについての問い合わせ。

再検してみるとガン細胞が出て来たんだが,最初に提出された検体には本当にガンが無かったのか?というような内容だ。

普通なら正しい診断に至ってよかったよかったなのが,相手が悪いと「なぜ最初っからガンって言ってくれへんの?」的な物言いをされるので困る。

こっちは大事を取って再検をお願いしたのに,それを誤診呼ばわりするとはどーゆー魂胆やねん。

いつでも相手になったるで~,表出ろーコラ~。

・・・と,心中では一触即発の状態になるが,なんとか自制してその一線は越えず,平静を装って説明する。

それにしても気分ワリーなー。

気分直しに昼食でも買いに行こ・・・と生協に行くと,これまで病理医にならへんか?って勧誘してはず~っとフォローしてきた研修医さんにバッタリ遭遇する。

「どー調子?」「ええ,まあまあです」「どこの科にするか,決めた?」「ハイ・・・すいませんが,やっぱ病理は・・・」「・・・・・そっか」

「病理部期待の新人」候補者から,丁重なる候補辞退の返事をもらう。

まさに左ジャブ,左フックの,右ストレート!

踏んだり蹴ったりだ。

まるで口内炎を患ってる時にショーロンポーを食べようとしたら,その醤油タレが口内炎にしみて「痛っ」となり,さらに皮が破れて不意にほとばしり出たアツアツの肉汁が口内炎に直撃して激痛となる・・・・・そんな感じか?



悪いことが一日に三回続く。

そう言えば子どもの頃,近所の友達が「さんりんぼうの日にはな,一日に三回,悪いこと起きるねん」って教えてくれたっけ。

今日はさしずめ,我が「さんりんぼう」の日だ。

そう言えば,13日の金曜の仏滅のさんりんぼうが最悪の日やねんっとも教えてくれたっけ。

「はぁ~,今日はさんりんぼうでさぁ・・・」と秘書さんに愚痴をこぼす自分。

「お疲れさまです」と話を合わせてくれる秘書さん。

「機器は壊れるし,誤診呼ばわりされるし,Rさんには断られるし・・・ハー」

「あのー・・・」

「ん?」

「さんりんぼうって何ですか?」

「はぁ~?さんりんぼうも知らんのか?・・・さんりんぼうっちゅーのはな・・・・・」

こんな流れでさんりんぼうの意味・用法などをえらそーに説明し,「秘書さんに教えたったわ」状態でいい気になる自分。

その後に少し気になって調べてみると・・・・・

さー大変!。

そんな意味のことはどこにも書いてない。

さんりんぼうとは建築関係の凶日とあるだけで,一日に三回・・・だの,悪いことが重なる・・・だの,ど~っこにも書いとらん!

試しに主任さんやらシノ妻に訊いてみるが,そんなことは聞いたことがないとだれもが否定する。

思い出せば近所のよしみちゃんから,確かにそー聞いたんやけど・・・・・

幼少の知ったかぶりを頑なに信じて四十余年。

素直なる自分がいじらしい。




ある曲がかかると,思わず聴き入ってしまうっつーか心ごと持ってかれることは誰にもあるんじゃなかろうか?

自分の場合,たとえばAC/DCのTNTという曲がそれに当たるのやけども,そのAC/DCっていったい何の話やねん,物理とかそんなややこしそーな話なら勘弁して欲しいわって思われる可能性メッチャあるように思うしな,うんうん。

このAC/DCとゆうのはロックバンドの名であって,本邦ではあんまり人気がないねん,ハッキリ言わせてもらうとやな,ビートルズ・ストーンズ・クイーンなんかが人気投票レースのトップ集団であったりすれば,先頭から2分半遅れの第二集団の後方くらいにAC/DC選手は位置する?,自分的にはそんな位置づけなんやけれども,さらに付け加えさせてもらえば自分は生まれてこの方AC/DCの熱烈なファンですって胸張るヒトに出逢ったことがなく,かろうじて「AC/DC?たまに聞くよ」と答えてくれるヒトがおるにはおる程度。

この理由はたぶん「音」ではないと固く信じてんねんけど,イメージ的に何か知らんけどサムシングが足りんっちゅーか,ビジュアル的にも何かカッコ良さが足りんっちゅーか,そんな音以外の部分が本邦っちゅーややこしい文化にいまいち溶けこみづらかったんちゃう?ってのが自分なりの推論なんやけども,ここでこのことを更に深く?論じてみたい。

たとえば大英帝国とか米出身じゃないのが災いしているのかもしれんなぁっちゅーのは自らの経験的帰納的な推測であって,この種の音楽にかぶれていた我が青春時代には豪出身というだけで確かに一つあるいは二つ下にランクさせていたような気がするし,これってまるでマラソンのスタートを豪出身者だけは2分半遅らせますよってなメチャクチャなルールを適用してるみたいやし,そんな国籍差別的な視野の狭い認識能力を持ってた若き我を許してお願いって謝らせてもらいたい。

ルックス的にも半ズボン姿で笑いとってどーすんねんと思わず突っ込みたくなるような一途さやし,ロックという概念におけるその半ズボンスタイルの立ち位置つまりはハードロッカーが半ズボンなど履いててええのんか?っちゅー素朴なる疑問に対する正答を用意しておいて欲しいねん,まったくあんたらはロックのカッコ良さに相反するような命題を内包し,ロックの既存概念にアンチテーゼ突きつけてんねん,それに居心地の悪さ感じん?って聞いたりたい。

パフォーマンス的にもボーカルのおっさん顎引いて,どっから声出してんねん???っていうしわがれ声,しかもヘンに痰がからんでおり妙に高いっちゅーのがポイントやねんけど,この声をしてたとえば歌のレッスンを受けたらば,もっとあんたお腹から声を出して・・・などと先生から確実に矯正されそうなる発声法,しかも医学的に見てみるとやな,こんな痰からませるような発声してたら長年の無理が祟って必ずや声帯ポリープを発生せしめ,耳鼻科の先生から活動をドクターストップされること必定やねんな。

それに半ズボン君はお決まりのステップやらのた打ち回りを演じてくれて十二分に楽しませてくれるパフォーマンスなのはええねんけど,なんか黄門様の印籠のごとく予定調和的なる安心感っちゅーか懐古趣味っちゅーかハートウォームな雰囲気に包まれており,見ようによってはほとんどお笑いバンドのレベルに達しているとも思えるし,「オイ!オイ!オイ!」って掛け声かけてる姿なんて妙に生真面目で微笑ましく感じるし,そんなあんたらのパフォーマンスが発散するメッセージには何やらロックに馴染まんものが含まれすぎやん!って思うわけ。

やから,このAC/DCを敢て「エンタメ・ロック」あるいは「お笑いロック(スマイリー・ロック)」というような新ジャンルでも勝手に拵えた上で理解してもらえれば,自ずとその味わいが浸透していこうと,こう思うわけやけど,そんなことゆうて侮辱するな!とホットなファンに叱られても詮無いし,いろいろヘンなこと書いたけどこっちはマジでメッチャ応援してるつもりやし,ひょっとして近未来にはあるいは関西圏では爆発的にウケんちゃうかなと夢想したりもして,とにかくがんばって欲しいわぁ,AC/DC!

たまたま聞いてたラジオ番組で「てぃーえんてぃ あまだいなぁまいっちゃぁ」ってやってたので,つい。